美術品の購入費用は会社の経費に落とせるの?
【美術品は会社の経費に落とせるのか】
最近では、さまざまな場所で絵画や焼き物などの美術展が行われています。
絵画などの美術品オークションも活発に行われています。
絵画などの美術品を購入した場合、購入費用は会社の経費に落とせるのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.美術品の購入費用は会社の経費に落とせるの?
2.まとめ
1.美術品の購入費用は会社の経費に落とせるの?
【1】会社が販売用として美術品を購入した場合
美術品の売却時に原価として経費にできる
会社が美術品を販売用として購入した場合には、
その美術品を売却したときに購入費用が原価として経費にできます。
美術品の販売前は、在庫として棚卸資産に計上されます。
【2】会社が社内に飾る目的で美術品を購入した場合
会社が絵画などの美術品を建物のエントランス、応接室や会議室、
クリニックの待合室などに飾るために購入した場合には、
原則として美術品の取得金額で経費に落とせるか判定します。
①取得価額が30万円未満のとき
消耗品として一発で経費にできる
美術品の取得価額が30万円未満のときは、
消耗品として一発で経費にできます。
美術品の取得価額には、引取運賃や運送保険料、据付費用を含めて判定します。
絵画であれば額縁代、陶磁器であれば箱なども取得価額に含まれます。
ご注意ください。
②取得価額が30万円以上100万円未満のとき
減価償却資産として取り扱う
美術品の取得価額が30万円以上100万円未満のときは、
美術品は減価償却資産として取り扱います。
美術品の耐用年数に渡り、取得価額を減価償却により経費にできます。
室内装飾の絵画や陶磁器であれば耐用年数は8年、
金属製の彫刻であれば耐用年数は15年になります。
③取得価額が100万円以上のとき
原則:経費にできない
絵画の取得価額が100万円以上のときは、
一発で経費に落とすことも、減価償却で経費に落とすこともできません。
非減価償却資産として取り扱います。
何らかの理由で売却したり、廃棄した際には、
取得価額を経費にできます。
それ以外には、経費にできません。
例外:時間の経過で価値の減少が明らかなときは、減価償却できる
取得価額が100万円以上でも、
時間の経過で価値の減少が明らかなら減価償却できます。
不特定多数の人が利用する場所の装飾用で、移設が困難、
他に転用すると美術品の価値が下がるようなときです。
実際には、個別に判断します。
④平成26年12月31日以前に購入した美術品は、再度金額判定ができる
上記の取得価額で経費に落とすかどうかの判定をするのは、
税制改正により、
平成27年1月1日以降に購入した美術品が対象です。
それより前に購入した美術品は違う基準で判定していました。
過去に会社の資産に計上されているものは、
27年1月1日以降の最初の事業年度に、再度金額判定をして経費にできます。
30万円未満の美術品は、過去に取得したものでも当期に一発で経費にできます。
最初の事業年度限定です。
まだ間に合う決算月の方は、
忘れないようご注意ください。
【3】役員や社員が自宅に飾る目的で美術品を購入した場合
役員や社員の賞与として取り扱う
役員や社員が自宅に飾る目的で美術品を購入した場合には、
役員や社員の賞与として取り扱います。
会社は源泉所得税の徴収が必要になります。
社員であれば従業員賞与で経費になりますが、
役員であれば、役員賞与になり、経費にできません。
【4】会社が個人への贈答用として美術品を購入した場合
①寄付金扱いになり、一定の限度額を超える金額は経費にできない
会社が個人への贈答用として美術品を購入した場合、
美術品の購入費用は、会社の寄付金として取り扱います。
一定の限度額を超える金額は、会社の経費にできません。
②会社から美術品の贈与を受けた個人は、一時所得の申告が必要
法人から美術品の贈与を受けた個人は、
一時所得として確定申告が必要です。
美術品が50万円以下のときは、所得税はかかりません。
2.まとめ
同じ美術品の購入でも、さまざまなケースがあり、
美術品の使用目的や購入金額によって取り扱いが
異なります。
特に使用目的を明確にしておきましょう。
税務調査のためにも、社内の稟議書などを
保存しておくとよいでしょう。