当期の収益を減らす法人税の節税対策を忘れていませんか?

【収益を減らす法人税の節税対策】

収益を減らすことができれば、利益が減少して、法人税を節税できます。
収益と言えば、まずは、売上を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
棚卸資産の引渡しのタイミング変更、決算期変更などの方法があります。
固定資産の売却のタイミング変更などもあります。

では、収益を減らす法人税の節税対策は、
どの方法を選択したら良いのでしょうか?
売上を中心に考えてみましょう。

グラスの中の冷えた氷

目次
1.棚卸資産の引渡しのタイミング変更による法人税の節税メリットとは?
2.棚卸資産の引渡しのタイミング変更による法人税の節税のデメリットとは?
3.決算期変更による法人税の節税メリットとは?
4.決算期変更による法人税の節税のデメリットとは?
5.含み益のある固定資産の売却を翌期に変更する法人税の節税メリット、デメリットとは?
6.まとめ

1.棚卸資産の引渡しのタイミング変更による法人税の節税方法のメリットとは?

 商品や製品の引渡しのタイミングを当期から翌期に変更することで、売上が当期から翌期になる

商品や製品などの棚卸資産を得意先に納品している会社です。
売上の計上タイミングは、商品や製品の引渡し日となります。

引渡し日を当期から翌期に変更することで、
当期の売上を減少させて、
法人税の節税メリットを受けられます。

3月決算で食品製造業を営む会社が、
3月31日までに、製品を得意先へ引渡します。
製品の売上は、当期に計上されます。

製品を得意先へ4月1日以降に引渡します。
製品の売上は、翌期に計上されます。

得意先の協力を得ることできるなら、
製品の引渡し予定日を3月31日から4月1日に変更して、
実際に4月1日に製品を得意先へ引渡します。

製品の売上は、翌期に計上されます。
当期の法人税が節税できますね。

飲食店、美容室、サービス業の会社です。
検討してみてはいかがでしょうか?

①営業時間を短縮する

②臨時休業をする

売上を減らして、法人税を節税できます。

休業による節税対策は、
資金繰りに影響を与えます。
キャッシュフローには、十分注意しましょう。

2.棚卸資産の引渡しのタイミング変更による法人税の節税のデメリットとは?

【1】得意先の諸事情を十分に考慮しないと、関係の悪化を招きかねない

ご自身の会社の節税メリットを考えることは良いことです。
得意先にもいろいろな事情があると考えます。
あまり度が過ぎると、得意先との良好な関係が冷え込むことにもなりかねません。

①得意先における製品の必要度合、緊急度合

②製品の品質保持の期間

③得意先との今後の取引関係や力関係

④得意先の財務状況など 

協力を求める際には、十分に考慮しましょう。

【2】商品や製品の原価も、当期の費用ではなく、翌期の費用になる

翌期に引渡しとなる商品や製品の原価は、
当期の棚卸資産となります。
当期の費用にはなりません。

費用収益対応の原則から、
売上の計上が翌期になれば、
原価も、同じタイミングの翌期に費用として計上されます。
ご注意ください。

3.決算期変更による法人税の節税のメリットとは?

当期と翌期の境界線である決算期を変更することで、売上が当期から翌期になる

決算期変更は、当期と翌期の境界線である決算日を変更します。
棚卸資産の引渡し日の位置が、当期から翌期に変わります。
当期の売上を減少させ、法人税の節税メリットを受けられます。

3月決算で食品製造業の会社が、
臨時の大口受注を獲得して、
2月に製品の引渡しを予定しています。
2月に多額の売上と利益が見込まれます。

決算日を3月31日から1月31日に変更します。
2月の多額の売上を、翌期の売上とできます。
当期の法人税の節税になりますね。

決算期変更には、下記の2つの手続きが必要です。

①株主総会で決算期を定めた条項の定款変更決議(特別決議)を行い、
その決議内容を記載した株主総会議事録を作成する。

②税務署と都道府県税事務所・市区町村役場へ、
決算期を変更した旨の届出書を
株主総会議事録の写しと一緒に提出する。

4.決算期変更による法人税の節税のデメリットとは?

金融機関などから不利益を受ける可能性もある

金融機関からの借入金があるケースでは、
金融機関へ決算期変更の十分な説明をして、
不利益を受けないようにしておきましょう。

決算期変更により納税期限が前倒しされます。
他の臨時的な現金支出、賞与の支払や
借入金の一括返済のタイミングに重ならないようにしましょう。
資金繰りにも十分注意することが大切です。

在庫の数量が少ない時期を決算期にします。
数量カウントに費やす時間を節約できます。
在庫の数量が多くなる時期と決算期の重複を
避けるようにしましょう。

業務効率も有効になりますね。

節税面だけを考えるのではなく、
他の面も考慮して対策を行ってゆくことが大切です。

5.含み益のある固定資産の売却を翌期に変更する法人税の節税メリット、デメリットとは?

簿価よりも時価の方が高い固定資産を売却します。
含み益が実現します。
実現した利益に法人税が課税されます。

当期に売却を予定している
含み益のある固定資産を売却すると、
含み益が実現して、法人税が課税されます。

翌期に売却するように予定を変更します。
当期に含み益は実現しません。
法人税の節税メリットを受けられます。

もちろん、売却タイミングの変更には、
売却先の諸事情などを十分に考慮したうえで、
売却先の了解を得るようにしましょう。

6.まとめ

商品や製品の引渡し日の変更
決算期変更
固定資産の売却タイミングの変更

どれを選択しても良いと考えます。

ただ、3つの変更すべてにおいて、
他の側面、デメリットも考慮したうえで、
実行するようにしましょう。

引渡し日の変更では、
得意先の協力が必要不可欠です。
関係を悪化させないよう、十分な配慮をしましょう。