社長の退職金準備は、銀行へ定期積立した方がいいの?生命保険に加入して積立てた方がいいの?(逓増定期保険・長期平準定期保険)

【社長の退職金準備は、定期預金か、生命保険か(逓増定期保険・長期平準定期保険)】

社長の退職金準備を検討しています。
生命保険は会社の経費に落とせる部分があります。
節税メリットを受けられます。

一方、生命保険は解約すると、
返戻率が100%を割り込むケースが多いです。

では、銀行への定期積立を選択した方が良いのでしょうか?
生命保険に加入しての積立てを選択した方が良いのでしょうか?
考えてみましょう。

エビサラダ

目次
1.銀行へ定期積立すると、どうなるの?
2.生命保険に加入して積立すると、どうなるの?
3.銀行への定期積立と生命保険への加入とを比較してみます
4.銀行へ定期積立するメリットとは?
5.銀行へ定期積立するデメリットとは?
6.生命保険に加入して積立するメリットとは?
7.生命保険に加入して積立するデメリットとは?
8.まとめ

1.銀行へ定期積立すると、どうなるの?

40歳の会社社長が、
70歳での退職のため
退職金準備を検討しています。

退職金の準備として、
税引後の利益を30年間、
銀行へ積立預金をします。

会社は毎期、利益3,000千円を計上します。
法人税等の実効税率を30%とします。
税引後の利益は、2,100千円です。

3,000千円×(1-30%)
=2,100千円(税引後の利益)

預金金利を0.01%とします。
2,100千円を30年複利で運用します。
30年後には、63,095千円になります。

退職金の原資は、63,095千円です。

2.生命保険に加入して積立すると、どうなるの?

会社は毎期、利益3,000千円を計上します。
1/2損金になる長期平準定期保険や逓増定期保険に加入します。
保険料は毎期2,470千円です。

保険料は、 保険料+法人税=税引前利益
となるように設定します。

(3,000千円-2,470千円×1/2)×30%(実行税率)
=530千円

2,470千円(保険料)+530千円(法人税)
=3,000千円(税引前利益)

保険料2,470千円を、30年間払い込んで積立てます。

2,470千円×30年
=74,100千円

70歳の退職時に解約して、
退職金の原資にします。
解約返戻率は、85%とします。

7,410千円×85%=62,985千円

退職金の原資は、62,985千円です。

3.銀行への定期積立と生命保険への加入とを比較してみます

今回の例で、銀行への定期積立と生命保険への加入とを
比較してみましょう。

【30年後の退職金の原資】
銀行への定期積立てのケース 63,095千円
生命保険への加入のケース 62,985千円
差額 110千円

銀行への定期積立の方が、金額的には、
若干ですが、有利となりました。
実質的には、ほぼ同じと考えて良いでしょう。

あくまで、毎期3,000千円の利益を出し続ける前提での計算です。
30年という長期では、赤字になることもあるでしょう。
赤字の期では、保険の節税メリットはありません。

赤字になる可能性を考慮して、
解約返戻率が100%近くになる保険への加入を検討するなど、
少しでも返戻率が高くなる保険を選択して、
そのタイミングで解約するようにした方が良いでしょう。 

4.銀行へ定期積立するメリットとは?

元本割れは、ほぼ無い

銀行へ積立てた預金は、よほどのことがない限り、
積立てた金額の100%が戻ってくると考えて良いでしょう。
やはり、銀行預金の安心感は高いです。

5.銀行へ定期積立するデメリットとは?

【1】運用としての利率が低い

運用利率が低いです。
投資として、運用効果は期待できません。
実質的に、資金が寝てしまうデメリットがあります。

【2】生命保険と異なり、万一の死亡保障がない

銀行へ定期積立をしているだけでは、
万一、病気や事故などで亡くなった時の
保障はありません。

6.生命保険に加入して積立するメリットとは?

万一の死亡保障がある

生命保険へ加入して、退職金の準備をする場合、
万一、病気や事故などで亡くなった時の
保障もされることになります。

社長に万一のことがあったときに
備えることができます。

キャッシュ面で、銀行預金より多少の損があっても、
保険に加入して積立てするメリットは
十分にあると考えます。

7.生命保険に加入して積立するデメリットとは?

赤字の期には、節税メリットが受けられない

今回の例では、会社が毎期、利益3,000千円を
計上し続ける前提での計算です。

30年という長い期間では、
利益が3,000千円を割り込むことや、
赤字になることもあるでしょう。

赤字の期では、保険料を経費に落としても
節税メリットは、ありません。

8.まとめ

1/2損金の長期平準定期保険又は逓増定期保険に加入して、
利益3,000千円を30年間、計上する。
この前提で、退職金準備のためのキャッシュの損得だけを考えます。

下記のふたつを比較します。
①1-30%(法人税の実効税率)×1/2
②解約返戻率

ふたつを比較して、
解約返戻率の方が高いようなら、
保険加入を選択した方が良いでしょう。

ふたつを比較して、
解約返戻率が低いようなら、
銀行への定期積立を選択した方が良いでしょう。

キャッシュの損得だけではない面もあります。
保険に加入していれば、
たとえ、赤字の期があって、節税メリットを受けられなくても、
万一の保障が付く安心感は大きいのではないでしょうか?

総合的に考えると、
退職金準備のためには、

保険に加入して積立するのが良いと考えます。

赤字の期の発生に備えて、
少しでも解約返戻率が高くなる保険に加入して、
少しでも解約返戻率が高いタイミングで、
解約するようにした方がよいでしょう。