倒産防止共済(経営セーフティ共済)に加入した方がいいの?
【倒産防止共済(経営セーフティ共済)】
倒産防止共済(経営セーフティ共済)に加入すると、
共済メリットだけでなく、節税メリットも受けられます。
では、倒産防止共済には、
会社が黒字なら、加入したほうがいいのでしょうか?
会社が赤字なら、加入しない方がいいのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.倒産防止共済の共済メリットとは?
2.倒産防止共済の共済デメリットとは?
3.倒産防止共済の節税メリットとは?
4.倒産防止共済の税務上のデメリットを受けないために・・・
5.どんなタイミングで解約すればいいの?
6.まとめ
1.倒産防止共済の共済メリットとは?
最大8,000万円まで、無利子・無担保・保証人なしで借入可能
取引先が法的整理などで倒産すると、売掛金の回収が不能になり、資金繰り悪化を招きます。
そんなとき、最大8,000万円まで、払込んだ掛金総額の10倍の金額を限度に借入できます。
無利子・無担保・保証人なしの好条件は、大きなメリットですね。
2.倒産防止共済の共済デメリットとは?
借入金の10%の掛金が没収される
資金繰りがピンチのとき、好条件で借入できるのは、大きな安心です。
ただ、借入によって、借入金の10%相当の掛金が回収されてしまいます。
最大8,000万円を借入すると、払い込んだ掛金800万円の権利が消滅します。
相当大きい金額ですね。
繰り上げ返済で、没収額を減らせますが、
効果は限定的です。
3.倒産防止共済の節税メリットとは?
【1】掛金は経費にできる(12か月で最大240万円)
倒産防止共済の掛金は、銀行の積立預金と違って、
会社の経費にできます。
法人税の節税に効果を発揮します。
支払方法は、月払いOR年払い、どちらかを選択できます。
年払いを選択すると、決算月に12か月分の掛金を
一発で経費にできます。
5,000,000円の利益が出ている3月決算の会社が、
3月に倒産防止共済に加入し、掛金2,400,000円を一括支払いします。
実効税率を30%とします。
加入前の法人税 5,000,000円×30%=1,500,000円
加入後の法人税 (5,000,000円-2,400,000円)×30%=780,000円
法人税720,000円が節税できます。
ただ、実質的な現金支出1,680,000円
(2,400,000円-720,000円)が伴います。
資金繰りには、注意が必要です。
掛金は、月額5,000円から月額最大200,000円まで、5,000円きざみで選べます。
年額だと、60,000円から2,400,000円まで、60,000円きざみです。
総額8,000,000円まで積立できます。
比較的負担の少ない金額から自由に設定できますね。
業績やキャッシュフローを考慮して、
無理せず適度な金額を選択しましょう。
なお、加入後でも掛金の増額は可能です。
減額の場合には、著しい業績の悪化などの一定条件があります。
ご注意ください。
【2】40か月以上掛けると、解約しても満額が戻る
任意で解約するケースの、掛金納付期間と解約返戻率です。
~11か月 0%
12か月~ 80%
24か月~ 85%
30か月~ 90%
35か月~ 95%
40か月~ 100%
40か月以上(3年4か月以上)の掛金納付で、
任意で解約しても、掛金を満額受け取ることができます。
一度解約しても、条件を満たせば、再加入できます。
節税対策として、再活用できます。
4.倒産防止共済の税務上のデメリットを受けないために・・・
解約手当金には、赤字や多額の経費をぶつける
解約の際に受け取る解約手当金は、
会社の収入になり、法人税が課税されます。
利益たくさん出ている事業年度に解約をすると、
思わぬ高額の法人税が課税される場合があります。
解約のタイミングに注意しましょう。
5.どんなタイミングで解約すればいいの?
【1】業績悪化で赤字となっている
【2】設備の修理などで多額の修繕費を支出する
【3】役員や従業員の退職金の支払いをする
解約手当金8,000,000円を受け取るケースで、
黒字の事業年度と、
赤字7,000,000円の事業年度とで、
解約手当金に課税される法人税の比較をしてみましょう。
実効税率30%とします。
黒字の事業年度 8,000,000円×30%=2,400,000円
赤字の事業年度(8,000,000円-7,000,000円)×30%=300,000円
法人税2,100,000円を節約できます。
会社が赤字のタイミングで解約する。
解約手当金という収益に、赤字をぶつけて相殺する。
セオリーを覚えておきましょう。
会社が黒字でも、修繕費や退職金の支払いなど、
臨時に多額の経費が発生するケースでは、
倒産防止共済の解約も検討しましょう。
解約手当金と、ほぼ同額の臨時の経費とを相殺すると、
解約手当金の金額を、実質的に無税で受け取りできます。
6.まとめ
倒産防止共済には、黒字の会社でも、赤字の会社でも、
加入しておいた方がよいでしょう。
金融機関に毎月定額の積み立て預金をされている会社も多いと思います。
5万円の積み立てをしても、預金です。経費にできません。
満期のときは、利息が付いて戻ります。元本割れは、ありません。
倒産防止共済は、毎月5万円の掛金を支払うと、5万円が経費になります。
年間では60万円です。40か月以上掛け金を納付すれば、任意で解約しても、
掛金を満額戻してもらえます。言ってみれば、経費になる積立預金です。
それなら、経費にできる積立預金を選択して、
共済メリットと節税メリットを受けた方が
よいと考えます。
黒字の会社では、共済メリットと節税メリットを
ダブルで受けられます。
赤字の会社では、赤字の間は、共済メリットを受けましょう。
万一のときの借入に備えて、掛金は少額に設定します。
黒字に転換したとき、掛金を増額して、節税メリットも享受しましょう。
資金繰りの状況によっては、黒字か赤字かを問わず、
加入しない選択も、もちろん判断としてあり得ます。