給与でない個人へ支払う報酬は、源泉徴収しないといけないの?

【個人へ支払う報酬の源泉徴収】

個人へ報酬を支払います。
法人に支払う報酬は、
特殊な例を除いて、源泉徴収は不要です。

では、個人に対する報酬は、給与に該当しないとしても
源泉徴収をしないといけないのでしょうか?
源泉徴収しなくてもいいのでしょうか?考えてみましょう。

灯台への道

目次
1.源泉徴収が必要なケース、必要でないケースを比較してみましょう
2.源泉徴収が免除される場合とは?
3.まとめ

1.源泉徴収が必要なケース、必要でないケースを比較してみましょう

【1】士業へ支払う報酬は、どうなるの?

弁護士や司法書士、税理士、社会保険労務士、
行政書士、弁理士、中小企業診断士など、
いわゆる士業へ支払う報酬です。

①弁護士や司法書士、税理士、 社会保険労務士、弁理士、中小企業診断士への報酬・・・源泉徴収あり

②行政書士への報酬・・・源泉徴収なし

司法書士と行政書士の両方の資格をお持ちの方に、
行政書士として行政書士の業務をしてもらいました。
行政書士へ報酬を支払いますので、源泉徴収は不要です。

司法書士への報酬だからといって、
源泉徴収が必要だと思い込んでしまい、
必要のない源泉所得税を支払うことのないようにしましょう。

なお、支払報酬の源泉所得税の計算では、
司法書士と海事代理士への支払報酬だけは、他の士業と異なり、
支払報酬から1万円を控除した金額に源泉税率を乗じます。
ご注意ください。

経営コンサルタントへの報酬も、
源泉徴収が必要です。

【2】講演会を開催するときは、どうなるの?

講演会を開催します。さまざまな費用が発生しますね。
源泉徴収はどうなるのでしょうか?

①講演者への講演料・・・源泉徴収あり

②講演会の司会者への報酬・・・源泉徴収なし

③講演会のアシスタントへの報酬・・・源泉徴収なし

④講演者のスタイリスト料やヘアメイク料・・・源泉徴収なし

⑤講演会のカメラマンへの報酬・・・源泉徴収あり

講演者への講演料が源泉徴収の対象になります。
講演料以外は、源泉徴収は不要と考えて良いでしょう。

ファッションアドバイザーへのスタイリスト料やヘアメイク料は、
源泉徴収は不要です。
ただ、カメラマンへの報酬は、源泉徴収が必要です。

講演料を謝礼として支払ったとしても、
名目には関係なく、源泉徴収が必要です。
あくまで実質で判断されますので、ご注意ください。

【3】ホームページを製作を依頼するときは、どうなるの?

ホームページを製作します。
製作費用の源泉徴収はどうなるのでしょうか?

①HP製作のプログラマーへの報酬・・・源泉徴収なし

②HPのデザイン料・・・源泉徴収あり

③HP写真のカメラマン報酬・・・源泉徴収あり

④HP文章のライターへの原稿料・・・源泉徴収あり

ホームページを製作するプログラマーへの報酬は、
源泉徴収が不要です。
製作の際、高度な専門的知識を必要とする設計やコンサルに対する報酬は、
源泉徴収が必要になります。

デザイン報酬、カメラマン報酬、原稿料は、
源泉徴収が必要です。

【4】デザイン料を支払うときは、どうなるの?

デザイン料は、源泉徴収あり

広告デザイン、インテリアデザイン、ディスプレイデザイン、アパレルデザイン
パッケージデザイン、クラフトデザインなどの
デザイン料を支払います。源泉徴収が必要です。
字や絵の看板書き料は、 源泉徴収が不要です。

ネオンサイン、ディスプレイなど、
デザイン料と物品そのものの製作料が混在するケースは
デザイン料と製作料を区分して、デザイン料のみに源泉徴収を行います。
デザイン料が少額なら、源泉徴収は不要です。

【5】建物の建築を依頼するときは、どうなるの?

建物の建築でも、いろいろ費用が発生します。

①建築設計料、工事監理料・・・源泉徴収あり

②建築施工料・・・源泉徴収なし

設計料は源泉徴収が必要です。

【6】通訳や翻訳を依頼するときは、どうなるの?

①通訳や翻訳に対する報酬・・・源泉徴収あり

②手話通訳に対する報酬・・・源泉徴収なし

通訳料での注意点は、手話通訳のケースですね。

【7】バーを経営しているときは、どうなるの?

バーを経営しているときは、どうなるのでしょうか?

①バーのホステスやコンパニオンへの報酬・・・源泉徴収あり

②バーでのバンド出演料・・・源泉徴収あり

③バーテンダーへの報酬・・・源泉徴収なし

④バーのホール係への報酬・・・源泉徴収なし

ホステスやコンパニオンへの報酬は、源泉徴収が必要です。
バントを招いて演奏するケースでは、
バンドへの報酬からも源泉徴収が必要です。

バーテンダーやホール係に支払う報酬でも、
給与に該当するものは、給与としての源泉徴収が必要です。
ご注意ください。

【8】外交員へ報酬を支払うときは、どうなるの?

外交員への報酬は、源泉徴収が必要

外交員への報酬は、源泉徴収が必要です。
似ているものとして、
例えば、代理店への報酬は、源泉徴収が不要です。

2.源泉徴収をしなくても良いケースとは?

【1】給与の支払い者でない個人事業主のケース

【2】常時2人以下の家事使用人に対する給与を支払っているケース

2つのケースでは、
源泉徴収が必要な報酬を支払っていても、
源泉徴収は不要です。

ただ、バーなどの経営者は、
従業員がゼロでも、ホステス報酬の源泉徴収は必要です。
ご注意ください。

3.まとめ

源泉徴収は、必要かどうかを確認してから行いましょう。
必要のない源泉所得税を納付することのないようにします。
税務署が、間違いを指摘して、率先して還付してくれることは、
ほとんどないと考えてよいでしょう。

必要ない源泉所得税を納期限後に納付しても、
原則として、不納付加算税を徴収されることがあります。

源泉所得税の誤納還付請求をすることになりますが、
書類の提出などの手続きが必要です。
やぶへびになるケースもあります。

心配だからといって、
やみくもに源泉徴収することはせずに、
確認をしてから行いましょう。