「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」は提出した方がいいの?
【源泉所得税の納期の特例の承認申請書】
給与から天引きしている源泉所得税を、毎月、税務署へ納付しています。
「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」の税務署への提出を考えています。
「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」は、
提出した方が良いのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出しないと、どうなるの?
2.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出すると、どうなるの?
3.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出するメリットとは?
4.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出するための条件とは?
5.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」は、いつまでに提出すればいいの?
6.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出するデメリットとは?
7.まとめ
1.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出しないと、どうなるの?
源泉所得税には、納期の原則が適用される (年12回納付)
「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出しない場合、
源泉所得税には、納期の原則が適用されます。
納期の原則は、給与から天引きしている源泉所得税について、
給与を支給した月の翌月10日までに納付することになります。
納期の原則によると、
7月31日に支給した給与の源泉所得税は、
8月10日が納付期限です。
2.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出すると、どうなるの?
源泉所得税には、納期の特例が適用される (年2回納付)
「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出すると、
源泉所得税には、納期の特例が適用されます。
納期の特例は、給与から天引きしている源泉所得税を、
1月から6月までに支給した給与については、7月10日までに、
7月から12月までに支給した給与については、翌年1月20日までに、
納付することになります。
3.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出するメリットとは?
【1】事務処理の負担が減少する
年2回、半年分の源泉所得税をまとめて納付すればよいので、
毎月のルーティーン業務が減少します。
事務処理の負担が減少しますね。
【2】資金繰りに有利
源泉所得税を、年2回、半年ごとにまとめて納付すればよいので、
源泉所得税の金額だけ、毎月の現金支出が軽減されます。
延長された納期限まで現金支出が猶予されるため、
資金繰りには、有利となります。
【3】納期の特例の承認を受けても、毎月納付ができる
納期の特例の承認を受けても、
毎月、給与を支給した月の翌月10日までに、
自主的に、源泉所得税を納付することができます。
納期の特例の承認を受けています。
7月に支給した給与の源泉所得税の納付期限は、
翌年1月20日になります。
自主的に、8月10日までに納付しても、問題はありません。
仮に、8月10日までに納付できなかったとしても、
納期の特例の承認を受けている限りは、
不納付加算税や延滞税はかかりません。
ただし、7月10日と1月20日の納期限は、必ず守りましょう。
納付が遅れると、不納付加算税や延滞税が
課税されてしまいます。
資金繰りが心配なケースでは、納期の特例の承認を受けておいて、
任意のタイミングで、源泉所得税を納付するようにしても良いでしょう。
年2回の納期限までに納税しなかった場合でも、
税務署から、納期の特例の承認の取消通知がなければ、
納期の特例の承認は、引き続いて有効です。
なお、「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出するには、
条件があります。
4.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出するための条件とは?
給与の支給を受ける従業員が、常時10人未満であること
給与の支給を受ける従業員が、常時10人未満であれば、
「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出できます。
1か月でも10人を超えたらもうだめ、ということにはならないと考えます。
①退職者との引き継ぎで一時的に10人を超えた
②繁忙期でアルバイトを採用し、一時的に10人を超えた
2つのケースは、常時10人未満と考えても良いでしょう。
5.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」は、いつまでに提出すればいいの?
特に提出期限は定められていない
「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」の提出期限は、
特に定められていません。
納期の特例を選択したいと思ったタイミングで提出できます。
承認申請書を提出した月の翌月末日までに、
税務署から何の通知もなければ、
承認申請書を提出した月の翌月末日で自動承認となります。
承認があった月に支給した給与の源泉所得税から、
納期の特例が適用されます。
次のケースを考えてみます。
・7月20日 「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」の提出
・8月31日 税務署から何の通知もなし(自動承認)
納付期限は、次のようになります。
・7月に支給した給与の源泉所得税 → 8月10日
・8月から12月に支給した給与の源泉所得税 → 翌年1月20日
6.「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出するデメリットとは?
【1】半年ごとの源泉所得税の納税額が多額になるケースもある
高額な給与の支給を受けている従業員がいるケースでは、
半年ごとの納税が数百万円になることも少なからずあります。
半年に1回なので、ついうっかり納税を忘れてしまうと、
多額の不納付加算税や延滞税が課税されてしまうことにもなりかねません。
資金繰り予定を立て、資金手当てとともに、確実な納税を行いましょう。
【2】外交員報酬、デザイナー報酬、カメラマン報酬の源泉所得税には、納期の特例の適用はない
納期の特例の適用がある源泉所得税は、下記に限定されています。
①給与や賞与
②弁護士報酬、司法書士報酬、税理士報酬など
次の源泉所得税には、納期の特例の適用はありません。
ご注意ください。
①外交員報酬
②デザイナー報酬
③カメラマン報酬
④ホステス報酬など
7.まとめ
給与の支給を受ける従業員が、常時10人未満であれば、
「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を
提出した方がよいでしょう。
給与の源泉所得税を、年に2回、半年ごとに納税することで、
事務負担の軽減と資金繰りが猶予されるメリットがあります。
納期の特例の承認を受けても、
毎月10日までに納付することもできます。
条件を満たす限りは、
「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を
提出しておくようにしましょう。
「源泉所得税の納期の特例の承認申請書」を提出しても、
納税額の節税にはなりません。
ご注意ください。