贈与税の配偶者控除のメリット、デメリットとは?

【贈与税の配偶者控除のメリット、デメリット】

贈与税の配偶者控除を検討している夫婦です。
夫婦間で居住用不動産の生前贈与を検討しています。

贈与税の配偶者控除を適用すると、
居住用不動産のうち20,000千円までは、
贈与税なしで生前に財産の移転ができます。

では、贈与税の配偶者控除を適用できるなら、
夫婦間で居住用不動産の生前贈与をした方が良いのでしょうか?
考えてみましょう。

夫婦でつくったごはん

目次
1.生前贈与をして、贈与税の配偶者控除を適用すると、どうなるの?
2.贈与税の配偶者控除を適用するための5つの条件とは?
3.贈与税の配偶者控除のメリットとは?
4.贈与税の配偶者控除のデメリットとは?
5.まとめ

1.生前贈与をして、贈与税の配偶者控除を適用すると、どうなるの?

暦年贈与の基礎控除1,100千円と合計して、21,100千円までは贈与税が課税されない

夫Aが、妻Bに、
居住用の土地と建物25,000千円を
贈与します。

①贈与税の課税価格

24,000千円-20,000千円(贈与税の配偶者控除)-1,100千円(基礎控除)
=2,900千円

②贈与税

2,900千円×15%-100千円
=335千円

居住用の土地と建物25,000千円を、
贈与税335千円の負担で、
夫Aから妻Bに移転できます。

贈与税の配偶者控除を適用するには、
条件があります。

2.贈与税の配偶者控除を適用するための5つの条件とは?

【1】婚姻期間が20年以上

【2】贈与財産は、贈与を受ける配偶者が住むための下記2つに限定

①居住用不動産

②居住用不動産を取得するための金銭

【3】贈与を受ける配偶者が、贈与年の翌年3月15日までに、贈与された居住用不動産(又は、金銭で取得した居住用不動産)に居住する。その後も引き続き居住する見込みである。

【4】同じ夫婦間での適用は、1回に限定

【5】贈与税の申告をする

条件【1】から【4】を満たしていても、
贈与税の申告を忘れてしまうと、
贈与税の配偶者控除の適用を受けることはできません。
必ず、贈与税の申告をするようにしましょう。

3.贈与税の配偶者控除のメリットとは?

【1】相続税で相続開始前3年以内の生前贈与加算の適用がない

相続開始前3年以内に贈与した財産は、贈与をしたとしても、
贈与者の相続財産に取り込まれます。
生前贈与加算の適用によって、相続税が課税されます。

贈与税の配偶者控除の適用を受けた財産は、
最大20,000千円まで、生前贈与加算の適用がありません。
贈与税も相続税も課税されずに、居住用不動産の移転が可能です

相続税が課税される方が、贈与税の配偶者控除を利用して、
配偶者へ贈与することで、相続財産を減らし、
相続税を減らすことができます。

極端な話ですが、相続の数日前に贈与して、
相続財産を減らすことも可能です。
贈与する本人が、正確な意思表示をすることができれば、
問題はありません。

認知症などで、本人は、意思表示ができません。
本人の承諾なく、勝手に贈与契約書を作成しました。
こういった不正行為による贈与は無効です。

【2】夫婦で居住用不動産の譲渡益から最大30,000千円控除の適用ができる

夫が妻に居住用不動産を贈与します。
将来、居住用不動産を売却する場合には、
夫と妻のそれぞれが、所得税の計算で譲渡益から最大30,000千円まで控除できます。
二人合わせて最大60,000千円まで控除できます。

4.贈与税の配偶者控除のデメリットとは?

【1】内縁関係の夫婦には、贈与税の配偶者控除を適用できない

贈与税の配偶者控除を適用する場合、
贈与税の申告書に、贈与を受けた人の戸籍の謄本又は抄本を
添付します。

税務署は、戸籍謄本で、正式な夫婦関係があるか、
婚姻の期間は何年か等を確認します。

夫婦形態に対する考え方は、
個人によってそれぞれ異なりますし、
個人の考え方は尊重されるべきと考えます。

贈与税の配偶者控除に関しては、
内縁関係であることが、残念ながら、
マイナスに働いてしまいます。

【2】贈与を受けた配偶者が先に死亡した場合、贈与をした配偶者が、贈与した居住用不動産を相続すると、相続税の負担が発生する

万一、贈与を受けた配偶者が先に死亡した場合、
贈与をした配偶者が、贈与した居住用不動産を相続すると、
せっかく贈与した居住用不動産がブーメランのように戻ってきて、
相続税の負担が発生するケースがあります。

贈与しなかったなら、負担する必要が全くなかった
相続税を負担することになる可能性があります。

確率としては、低いかもしれません。
念のため、頭に入れておいた方が良いでしょう。

【3】贈与税の配偶者控除は、住宅ローン返済資金には適用がない

金銭を贈与するケースです。
贈与税の配偶者控除は、住宅ローン返済資金には適用がありません。
金銭は、あくまで、住宅取得資金に限定されます。

妻Bさんが、住宅ローン30,000千円を組んで、住宅を新築しました。
夫Aさんが、妻Bさんに、現金20,000千円の贈与をしました。

妻Bさんが、贈与された現金20,000千円で、
住宅ローンの一部を返済しても、
贈与税の配偶者控除の適用は、ありません。

金銭を贈与するケースでは、贈与を受けた住宅取得資金で、
建築業者へ建築代金を支払う必要があります。
ご注意ください。

【4】贈与は相続に比較して、不動産取得税、登録免許税の負担が重い

①不動産取得税

不動産取得税の税率は、贈与3%、相続は非課税です。

②登録免許税

登録免許税の税率は、贈与2%、相続0.4%です。

固定資産税評価額を20,000千円とします。

贈与のケース 20,000千円×2%=400千円
相続のケース 20,000千円×0.4%=80千円
差額 320千円

贈与のケースは、負担が大きいですね。

【5】相続税が発生しないケースでは、相続税が軽減するメリットがない

贈与税の配偶者控除を適用できる夫婦でも、
贈与をする方に相続があった場合、相続税が発生しないケースでは、
生前贈与の前も後も、相続税はゼロです。
生前贈与をしても、相続税の負担は、軽減されません。

5.まとめ

贈与税の配偶者控除を適用できる夫婦では、
贈与をする方に相続があった場合、相続税が発生するケースでは、
居住用不動産の生前贈与をした方が良いでしょう。

贈与税の配偶者控除の適用を受けた財産は、
最大20,000千円まで、生前贈与加算の適用がありません。
贈与税も相続税も課税されずに、居住用不動産の移転が可能です。

贈与税の配偶者控除を適用できる夫婦でも、
贈与をする方に相続があった場合、相続税が発生しないケースでは、
居住用不動産の生前贈与をしない方が良いと考えます。

生前贈与の前も後も、相続税はゼロです。
生前贈与により、不動産取得税や登録免許税の
負担が発生します。

たとえ、相続税が発生するケースでも、
不動産取得税や登録免許税の負担と、
生前贈与の前後での、相続税の負担をシミュレーションしましょう。
十分に検討したうえで、生前贈与を実行するようにします。