土地の上に高圧線があること、忘れていませんか?
【高圧線下の土地の評価】
相続税や贈与税の申告をするため
相続財産である土地を評価する場合、
通常、路線価に面積を乗じる路線価方式により評価をします。
土地のうえに高圧線があるときは、
通常の評価額から一定の評価減を
することができます。
では、どのような評価をするのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.高圧線下の土地の評価は、どうするの?
2.まとめ
1.高圧線下の土地の評価は、どうするの?
【1】上空に高圧線がない場合
200㎡の土地があり、路線価30万円/㎡とします。
土地の相続税評価額は、
30万円/㎡×200㎡=6,000万円なります。
【2】上空に高圧線がある場合
①評価額を減額できるわけ
上空に高圧線がとおっている土地では、
利用をするにあたって何らかの制限が発生します。
その制限がかかる分だけ、評価額を減額できます。
例えば、電圧が7,000Vを超え35,000V以下の場合、
建物を建築するときは、送電線から3メートル以上の距離を
とらなければなりません。
また、強風のときには騒音が発生することもあります。
電波障害などもあるかもしれません。
目の前に高い鉄塔があると、圧迫感を感じたりもします。
これらを考慮して評価額の減額をすることができます。
②減額できる金額は、いくらなの?
次の割合だけ、減額できます。
※1 建物が全く建築できない場合 50%と借地権割合の高い方
※2 建物の建築に制限を受ける場合 30%
200㎡の土地があり、路線価30万円/㎡とします。
土地の相続税評価額は、
30万円/㎡×200㎡=6,000万円なります。
高圧線下の面積を100㎡とします。
建物の建築に一部制限を受けるとします。
評価減の金額は、
6,000万円×100㎡/200㎡×30%
=900万円です。
土地の評価額は
6,000万円-900万円
=5,100万円となります。
③現地の確認をしておきましょう
土地利用者は、電気事業者と
送電線のための土地空間利用契約や
地役権設定契約を締結します。
契約書はきちんと保管しておきましょう。
土地に対して、
必ず地役権設定登記がされる訳ではありません。
登記がなされない場合、
高圧線下の土地の評価減を
うっかり忘れてしまう可能性もあります。
分かっているつもりでも、
現地に行き高圧線がないかを
確認しておきましょう。
2.まとめ
高圧線下の土地については、
電力会社との土地空間利用契約書を保存しておきます。
土地の利用制限について
必ず登記されるわけではありませんので、
現地を確認して、高圧線による評価減の考慮を忘れないようにしましょう。