管理委託方式による不動産管理会社の有効活用をしていますか?
【管理委託方式による不動産管理会社の有効活用】
賃貸している建物とその敷地をすべて個人で保有しています。
不動産所得に対する所得税と住民税の負担が高額になってきました。
所得分散のため、不動産管理会社の活用を考えています。
不動産管理会社の活用方法は、主に3つあります。
では、不動産管理会社を活用するには、
どの方法を選択したらよいのでしょうか?
今回は、管理委託方式による不動産管理会社の活用を
考えてみましょう。
目次
1.管理委託方式による不動産管理会社の活用とは?
2.管理委託方式による不動産管理会社のメリットとは?
3.管理委託方式による不動産管理会社のデメリットとは?
4.まとめ
1.管理委託方式による不動産管理会社の活用とは?
個人オーナーの賃貸建物の管理業務を、不動産管理会社に委託する方式
個人オーナーが所有している賃貸建物の管理業務を、不動産管理会社に委託する方式です。
不動産賃貸事業には、さまざまな管理業務が発生します。
入居者の募集、家賃の集金、賃貸建物の清掃やごみ出し、
賃貸借契約の更新、退去時のクリーニング、家賃滞納の対応、
苦情の対応、長期的な修繕計画など・・・
このような管理業務をまるごと、不動産管理会社に委託します。
具体的には、下記の4つになります。
①個人オーナーが不動産管理会社を設立します。
②できる限り個人オーナー以外の親族が不動産管理会社の役員に就任します。
③個人オーナーと不動産管理会社とで、管理委託契約を締結します。
④個人オーナーが不動産管理会社に管理委託手数料を支払います。
2.管理委託方式による不動産管理会社のメリットとは?
個人オーナーの不動産所得を不動産管理会社に分散できる
最近の税制改正の動向は、所得税、相続税、贈与税をはじめとして、
個人に対する課税を増税する方向になっています。
一方、法人税など、法人に対する課税は減税の方向になっています。
オーナー個人の不動産所得の一部を、管理委託料の支払いをすることで
不動産管理会社に移転することができます。
会社は、低率の法人税負担となります。
個人オーナーの所得税や住民税の節税メリットがあります。
不動産管理会社が、個人オーナー以外の親族に給与を支払うことで、
各人が給与所得控除の適用を受けられます。
各人が低率の所得税負担となります。
生前贈与と同様、相続税の節税メリットがあります。
3.管理委託方式による不動産管理会社のデメリットとは?
不動産管理会社に支払う管理委託料は、不動産賃貸料の10%程度にとどまる
管理委託料の金額は、自由に決めることができます。
ただ、あまりにも高額な管理委託料はを設定すると、
税務調査の際、税務当局から費用と認められない可能性があります。
不当に高額かどうかの判定は、
委託する管理業務の内容、不動産管理会社の損益状況や規模など、
個別の状況に応じて決定することになります。
過去の判例などを考慮すると、
実際の管理委託料は、不動産賃貸料の10%程度に
しておくと良いと考えます。
4.まとめ
管理委託方式による不動産管理会社の活用は、
個人の節税にはなりますが、その効果は限定的です。
不動産管理会社の活用方法のなかで、
いちばん所得税や住民税の節税効果があるのは、
不動産管理会社が賃貸建物を所有する方法です。
個人オーナーの賃貸建物を不動産管理会社に移転する際は、
税務上、注意すべきことが多くあります。
状況によりますが、最終的には不動産所有方式にするのが良いと考えます。
個人オーナーが、いきなり不動産管理会社に譲渡するやり方もありますが、
まずは管理委託方式をとり、その後適切なタイミングを見て、
個人オーナーが不動産管理会社に賃貸建物を譲渡する方法もあります。
個別の状況に応じて、使い分けをしましょう。
不動産管理業務の委託が形式だけで、実質が伴っていないと、
租税回避行為とみなされるおそれがあります。
管理委託業務契約書はもちろん、
不動産管理会社から個人オーナーへの業務報告書など、
実態があることを証明できる書類を保管しておきましょう。