サブリース方式による不動産管理会社の有効活用をしていますか?

【サブリース方式による不動産管理会社の有効活用】

賃貸している建物とその敷地をすべて個人で保有しています。
不動産所得に対する所得税と住民税の負担が高額になってきました。
所得分散のため、不動産管理会社の活用を考えています。
不動産管理会社の活用方法は、主に3つあります。

では、不動産管理会社を活用するには、
どの方法を選択したらよいのでしょうか?
今回は、サブリース方式による不動産管理会社の活用を
考えてみましょう。

高層マンション

目次
1.サブリース方式による不動産管理会社の活用とは?
2.サブリース方式による不動産管理会社のメリットとは?
3.サブリース方式による不動産管理会社のデメリットとは?
4.まとめ

1.サブリース方式による不動産管理会社の活用とは?

個人オーナーの賃貸建物を、一括して不動産管理会社に賃貸する方式

個人オーナーが所有している賃貸建物を、
一括して不動産管理会社(サブリース会社)に賃貸する方式です。
個人オーナーとサブリース会社とは、サブリース契約(建物一括借り上げ契約)を締結します。
サブリース会社が、実際の入居者と賃貸借契約を締結します。

例えば、サブリース会社が、入居者から120万円の賃料を受け取ります。
サブリース会社は、個人オーナーに102万円のサブリース料を支払います。

控除した18万円は、空室リスクや賃料値下げリスク、
管理業務に対するサブリース会社の収入となります。
120万円×15%=18万円

賃貸建物の直接的な空室リスクは、サブリース会社が負います。
次のような管理業務は、もちろん、サブリース会社が行います。
・入居者の募集
・家賃の集金
・賃貸建物の清掃やごみ出し
・賃貸借契約の更新
・退去時のクリーニング
・家賃滞納の対応
・苦情の対応
・長期的な修繕計画

具体的な流れは、下記の4つになります。

①個人オーナーがサブリース会社を設立します。

②できる限り個人オーナー以外の親族がサブリース会社の役員に就任します。

③個人オーナーとサブリース会社とで、サブリース契約を締結します。

④個人オーナーがサブリース会社からサブリース料を受け取ります。

2.サブリース方式による不動産管理会社のメリットとは?

個人オーナーの不動産所得をサブリース会社に分散できる

最近の税制改正の動向は、所得税、相続税、贈与税をはじめとして、
個人に対する課税を増税する方向になっています。
一方、法人税など、法人に対する課税は減税の方向になっています。

個人オーナーの不動産所得の一部を、賃貸料とサブリース料の差額分だけ、
サブリース会社に移転することができます。
サブリース会社は、低率の法人税負担となります。
個人オーナーの所得税や住民税の節税メリットがあります。

サブリース会社が、個人オーナー以外の親族に給与を支払うことで、
各人が給与所得控除の適用を受けられます。
各人が低率の所得税負担となります。
生前贈与と同様、相続税の節税メリットがあります。

3.サブリース方式による不動産管理会社のデメリットとは?

サブリース会社の利益となる不動産賃貸料とサブリース料との差額は、不動産賃貸料の15%程度にとどまる

サブリース料の金額は、自由に決めることができます。
サブリース会社が個人オーナーに支払うサブリース料を、あまりにも低額に設定すると、
多額の個人オーナーの所得が、サブリース会社へ移転することになります。
税務調査の際、税務当局から租税回避行為とみなされる場合もあります。

サブリース料の設定が適切かどうかの判定は、
不動産管理会社の損益状況や規模、管理業務の内容など、
個別の状況に応じて決定することになります。

実際のサブリース会社の利益は、不動産賃貸料の15%程度
になるようサブリース料を設定すると良いと考えます。
サブリース料は、不動産賃貸料の85%程度が下限と考えます。

4.まとめ

サブリース方式による不動産管理会社の活用は、
個人の所得税や住民税の節税になります。
空室リスクを直接負うので、サブリース会社の利益は、不動産賃貸料の15%程度と考えます。

不動産管理会社の利益が、不動産賃貸料の10%程度となる
管理委託方式よりも、高い節税効果を発揮します。

不動産管理会社の活用方法のなかで、
所得税や住民税の節税効果がいちばん高いのは、
やはり、不動産管理会社が賃貸建物を所有する方法です。

個人オーナーの賃貸建物を不動産管理会社に移転する際は、
税務上、注意すべきことが多くあります。
状況によりますが、最終的には不動産所有方式にするのが良いと考えます。

個人オーナーが、いきなり不動産管理会社に譲渡するやり方もありますが、
まずは管理委託方式やサブリース方式をとり、その後適切なタイミングを見て、
個人オーナーが管理委託会社やサブリース会社に賃貸建物を譲渡する方法もあります。
個別の状況に応じて、使い分けをしましょう。

サブリース料の設定が適切であり、
サブリース会社が実働していることの証明のためにも、
サブリース契約書(一括借り上げ契約書)を作成し、保管しておきます。

サブリース会社から個人オーナーへの業務報告書など、
実態があることを証明できる書類も保管しておきましょう。

賃貸建物が居住用である場合には、居住用としてサブリースする旨も記載しておきます。
居住用物件のサブリース料は、消費税が非課税となります。

空室リスクや賃料値下げリスクは、直接的には、サブリース会社が負うとはいえ、
間接的には、個人オーナーが負うことになります。
サブリース契約後も、賃料動向に応じてサブリース料の見直しが必要です。