法人税の節税対策です。現金を支出しますか?支出しませんか?

【法人税の節税対策、現金を支出するか、しないか】

法人税の節税対策は、現金支出の観点から、2つに分けることができます。
現金の支出をともなう節税対策と、
現金支出をともなわない節税対策です。

法人税の節税対策が現金支出をともなう節税対策なのか、
現金支出をともなわない節税対策なのかを理解することが重要です。
費用を増やす法人税の節税対策を例に考えてみましょう。

すだれと赤い花

目次
1.現金の支出をともなう法人税の節税対策の特徴とは?
2.現金の支出をともなわない法人税の節税対策の特徴とは?
3.まとめ

1.現金の支出をともなう法人税の節税対策の特徴とは?

当期の法人税の減少効果を発揮するものの、キャッシュフローの悪化をともなう

ある会社の当期の利益は2,000千円です。
来期に予定していた広告宣伝費を1,000千円、現金での前倒し支出を検討しています。
広告宣伝を実施しない場合と実施する場合とを比較してみます。実効税率を30%とします。

【1】広告宣伝を実施しない場合

①法人税

当期利益2,000千円×実効税率30%
=600千円

②現金支出額

法人税と同額の600千円です。

【2】広告宣伝を実施する場合

①法人税

(当期利益2,000千円-広告宣伝費1,000千円)×実効税率30%
=300千円

②現金支出額

広告宣伝費1,000千円+法人税300千円
=1,300千円

【3】広告宣伝を実施しない場合と実施する場合との比較

広告宣伝の前倒し実施は、現金の支出をともないます。
広告宣伝の実施しない場合と、実施する場合とで
当期の現金支出額を比較してみます。

①広告宣伝を実施しない場合

現金の支出額600千円

(内訳 法人税600千円)

②広告宣伝を実施する場合

現金の支出額1,300千円

(内訳 法人税300千円、広告宣伝費1,000千円)

広告宣伝を実施すると、実施しない場合より法人税は300千円の減少となります。
ただ、現金の支出額は実施する方が、実施しない場合より700千円だけ増加しています。
節税対策を実施しない場合の本来支払うべき法人税よりも、多くの現金を支出することになります。

現金の支出をともなう法人税の節税対策は、
計画的に行わないと資金繰りに悪影響を与えることも少なくありません。
現金支出をともなう節税対策を何度も行うと、会社に現金が残らなくなります。

会社経営の目的のひとつに、会社に現金を1円でも多く残すことが挙げられます。
本来必要としていないことに、節税対策の名のもとに多額の現金を支出して、
結果的に資金ショートしてしまったとなったら本末転倒です。

法人税の節税対策としての現金の支出は、
本来必要とすることに対して、必要な時期に、必要な金額だけ行うことが王道です。
とにかく節税対策ありきではありません。
そのうえで資金繰りに問題がないかどうかを常に考えて行うことが大切です。

2.現金の支出をともなわない法人税の節税対策の特徴とは?

当期の法人税を減らす効果を発揮し、現金支出がないためキャッシュフローの悪化はともなわない

現金の支出をともなわない法人税の節税対策は、法人税の税額控除が代表例です。
法人税の税額控除は、当期の法人税だけが減少します。実質的な法人税の値引きです。
所得拡大税制である雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除など、
要件を満たす税額控除があれば、積極的に活用してゆきましょう。

3.まとめ

法人税の節税対策には、現金の支出をともなう節税対策と、
現金の支出をともなわない節税対策があります。

現金の支出をともなう法人税の節税対策は、
本来必要とすることに対して、必要な時期に、必要な金額だけ行うことが重要です。
そして資金繰りを考慮して計画的に実行しましょう。手元の現金の最大化を目指しましょう。