相続税対策としてのお墓は生前の購入と死後の購入、どちらがいいの?

【お墓を生前に購入するか、しないか】

平成26年までは、相続発生総数に占める、相続税が課税される件数の割合は、4%程度でした。
平成27年1月以降は、相続税が増税となっています。

そんな中、お墓の購入を検討するタイミング、実際に購入するタイミングなど、
多くの方が悩んでいるのではないでしょうか?

では、生前に自分でお墓を購入する選択が良いのでしょうか?
死後に親族がお墓を購入する選択が良いのでしょうか?
相続税の対策を中心に、考えてみましょう。

広場で遊ぶ親子

目次
1.生前に自分でお墓を購入するメリットとは?
2.生前に自分でお墓を購入するデメリットとは?
3.死後に親族がお墓を購入するメリットとは?
4.死後に親族がお墓を購入するデメリットとは?
5.まとめ

1.生前に自分でお墓を購入するメリットとは?

【1】お墓は相続税の非課税財産

日常生活で礼拝に使用している墓地や墓石、仏壇や仏具などに、
相続税は一切課税されません。相続税は非課税です。
もし、こういったものにまで相続税がかかるとしたら、
大多数の人が納得いかないのではないでしょうか?

遺産のうち、現金には相続税がかかります。
遺産のうち、墓地や墓石、仏壇などには、相続税はかかりません。

生前に自分で墓地や墓石、仏壇を購入して、
現金を墓地などに変えておけば、
課税される遺産が減少しますね。
相続税の節税メリットを受けられます。

【2】お墓には固定資産税、不動産取得税が課税されない

墓地を購入する場合、多くは所有権の購入でなく、永代使用権の購入となります。
そのため、固定資産税や不動産取得税は課税されないケースが多いと考えます。

2.生前に自分でお墓を購入するデメリットとは?

【1】自分がお墓をローンで購入しても、ローン残高は遺産から控除できない

賃貸マンションをローンで購入します。
賃貸マンションには、相続税が課税されます。
そのため、ローン残高は、遺産から控除できます。

お墓をローンで購入します。
お墓には、相続税が課税されません。
そのため、ローン残高は、遺産から控除できません。

お墓を購入する場合、現金一括払いにするのが良いでしょう。
もし、ローンで購入したケースでは、ご自身の生前に、
支払いを完了させておきましょう。 

【2】投資や投機目的で購入した場合、相続税が課税される

おりん、お線香立て、ろうそく立てなどの仏具が純金製であっても、
日常礼拝に使用しているのであれば、相続税は非課税になると考えられます。
ただ、あまりにも一般常識からかけ離れた、目に余る金額であれば、
相続税が課税される可能性もあり得ると考えます。

金の仏像を、日常礼拝に使用しています。
相続税は課税されないと考えられます。
金の仏像を投資や投機目的で所有しています。
相続税が課税されると考えられます。

このケース、税務当局は、「仏像」ではなく、「金」と考えます。
金の延べ棒や金塊に相続税が課税されるように、
金の仏像にも、相続税が課税されます。
ご注意ください。

3.亡くなった後に親族がお墓を購入するメリットとは?

基本的にメリットはない

基本的にメリットはないと考えます。
メリットがあるのは、親族が頭を悩ませる中、
頭を悩ませる必要が全くない、亡くなったご本人なのかもしれません。

4.死後に親族がお墓を購入するデメリットとは?

【1】お墓の購入のため、経済的、時間的、精神的な負担がかかる

生前に自分で購入していれば、負担することのなかった相続税を、
親族が負担することになります。
そのうえで、墓地や墓石、仏壇などの購入費用を負担することになります。
親族には、経済的な負担がかかりますね。

墓地や墓石、仏壇などの購入には、
通常、それなりの時間がかかります。
特に遠隔地にすんでいる親族が、仕事をしながら購入するとなると、
時間的にも重い負担がかかるのは避けられません。

経済的な負担、時間的な負担に加えて、
どんなお墓を選べば良いのか分からない
といったこともあるかもしれません。
精神的な負担も重くなるのではないかと考えます。

【2】親族がお墓をローンで購入しても、ローン残高は遺産から控除できない

遺産から控除できる債務は、
亡くなられた方が負担すべきローン残高に限られます。
親族が負担すべきローン残高を、
遺産から控除することはできません。

葬式費用は、遺産から控除できます。
親族が墓地や仏壇、仏具などをローンで購入しても、
そのローン残高は、葬式費用に該当しません。

親族のローン残高は、債務としても、葬式費用としても、
遺産から控除することはできません。 

5.まとめ

相続税の対策として割り切って考えるのであれば、
お墓は自分で生前に購入した方が良いでしょう。
お墓は、相続税の非課税財産です。

相続税が課税される現金を、相続税が非課税の墓地や墓石、仏壇などに変えることで、
相続税の節税メリットを受けられます。

個人的な価値観の問題があります。
個人の信仰している宗教とか、なんとなく縁起が悪そうとか、
さまざまな個人的な感情で、生前に墓地などを購入したくない人も
多いのかもしれません。

こんなケースでは、相続税の負担よりも、
個人の考え方を優先させた方が良いと考えます。
ご自身の考え方をご親族にきちんと伝えておきましょう。
購入して欲しいお墓などの話しておくのも良いでしょう。

意思疎通を密にしておくことが大切ですね。