会社の決算月変更では、何月にすればいいの?

【会社の決算月の選択と変更】

会社の決算月はどんな理由で決めていますか?
「3月決算が多いから、3月にしておこう」とか
「設立が9月だから、8月決算にしておこう」など、
実はなんとなく決めてしまっているケースが多いのではないでしょうか?

では、会社の決算月は、
何月を選べばよいでしょうか?
考えてみましょう。

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目次
1.決算月の選択のセオリーとは?
2.決算月変更の手続は、どうすればいいの?
3.まとめ

1.決算月の選択のセオリーとは?

【1】12か月のうち、業績がいちばん低いタイミングを決算月にする

例えば、飲食店のケースでは、12月から1月は、
忘年会や新年会のシーズンで、一般的に業績が上がります。
仮に12月を決算月にします。

12月の業績が予想以上にいいと、多額の利益が計上されますね。
そういった状況で1月を迎えても、決算月を過ぎているので、
節税対策は限定されます。思わぬ高額の税負担を強いられるケースもあります。

9月から11月は、12月から1月と比べて、
業績は比較的落ち着くのではないでしょうか。

仮に9月を決算月にします。
12月の業績が予想をはるかに上回りました。
決算まで残り9か月あります。節税対策には、十分時間があります。

業績が落ち着くタイミングを決算月にすれば、利益の予想が容易ですね。
利益の予想が容易なら、納税額の予想も容易です。
納税額の予想が容易なら、資金繰りの計画も立てやすくなります。

業種によって、業績が落ち着くタイミングは異なると思います。
そのタイミングを考慮して、決算月に設定しましょう。

【2】会社の業務の繁忙期を回避する

繁忙期に決算月を迎えます。
一般的に在庫の数量が多くなり、
数量カウントに費やす時間が増加します。

在庫の数量が少ないタイミングを決算月にすれば、
棚卸作業の時間も節約できます。
業務効率も上昇します。

【3】税理士事務所の繁忙期を回避する

世界標準は、12月決算です。
日本では、3月決算が多いです。
税理士の顧問先も、必然的に3月決算が多くなります。

12月~1月は年末調整、2月~3月は確定申告、4月~5月は3月決算の申告
と言った具合に、12月~5月は一般的に、繁忙期となります。

4月~9月を決算月にすると、6月~11月が申告月です。
税理士事務所の繁忙期から外れます。
あくまで一般論ですが、良いサービスを受けられる可能性は高まるでしょう。

【4】税制改正の影響を遅らせるなら、2月決算?

税制の改正があると、新税制の実施タイミングは、
例えば「平成29年4月1日以後に開始する事業年度から」
といったケースが多いです。

2月決算だと、「平成30年3月1日に始まる事業年度から」新税制になります。
増税の改正であれば、11か月遅くすることができます。
ただ、減税の場合は、恩恵が11か月遅れます。

どっちも、どっちですね。
改正の影響は、あまり考慮しなくてもよいでしょう。

【5】株式上場を目指すケースでは、本体会社と関連会社の決算期をあわせる

本体会社が株式上場を目指す場合、
本体会社と関連会社との決算期は、
一致させた方がよいでしょう。

関連会社の決算期をずらすことで、
ある程度の利益調整は、可能です。
上場会社では通用しないと考えましょう。

2.決算月変更は、どのようにすればいいの?

検討のうえで、決算月を変更する場合、どのようにすればよいのでしょうか?
決算月の変更の手続は、比較的、簡単です。
法務局へ登記の申請をする必要はありません。

【1】株主総会で、定款に定める決算月変更を決議する(特別決議)

決算月を3月から9月に変更するケースでは、
9月末日までに株主総会で特別決議を行います。

例えば、10月5日に株主総会を開催しました。
遡って9月決算にすることはできません。
決算月にする月の末日までに、株主総会で特別決議をしましょう。

【2】株主総会議事録を作成する

決算月を変更した事実を、書面に残しておきます。

【3】決算月の異動届出書と株主総会議事録の写しを税務署、都道府県税事務所、市区町村役場に提出する

提出期限は特に定められていませんが、
速やかに提出しておきましょう。

3.まとめ

決算月を変更するなら、12か月のうち、
いちばん業績が低くなる月を選択しましょう。
利益の予想がしやすくなります。
納税や資金繰りの予想もしやすいでしょう。

ただ、業績の予想がしやすくなることの他にも、考慮が必要です。
金融機関からの借入金があるなら、決算月の変更理由を説明しておきましょう。
つまらない不利益を受けないようにしておくことが大切です。

資金繰りにも、十分配慮することが重要です。
決算月を変更すると、納税期限が前倒しされます。
他の臨時的な現金支出、例えば、賞与の支払や借入金の一括返済などの
タイミングに重ならないようにしましょう。

もちろん、業績の見通しが容易になること以外の面を考慮して、
決算月を変更しない選択もあり得ます。
視野の広い総合的で冷静な判断も求められます。