外注費や外交員報酬を支払うとき、源泉徴収をしなくてもいいの?
【外注費や外交員報酬と源泉徴収】
会社が給与を支払う場合、源泉徴収をしなくてはいけません。
では、会社が外注費を支払うときは、どうなるのでしょうか?
外注費は給与ではありません。では、源泉徴収をしなくてもいいのでしょうか?
それとも源泉徴収しなくてはいけないのでしょうか?
また、給与を外交員報酬に切り替えると節税メリットはあるのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.外注費を支払う場合、源泉徴収は必要?
2.外注費のうち、外交員報酬になるものは?
3.外交員報酬の源泉所得税はどう計算するの?
4.外交員報酬の源泉所得税はいつまでに納付するの?
5.会社が外交員報酬を支払うメリットとは?
6.会社が外交員報酬を支払うデメリットとは?
7.まとめ
1.外注費を支払う場合、源泉徴収は必要?
会社が外注費を支払う場合、源泉徴収をする必要はありません。
ただ、支払う外注費のうち、外交員報酬に該当するものは、
源泉徴収の義務が発生します。
2.外注費のうち、外交員報酬になるものは?
税務上、外交員の規定は、どこにも書いてありません。
一般的には、実質的な判断をして、5つに当てはまれば
外交員に該当すると考えます。
【1】 一定の者に専属
【2】 取引先を訪問
【3】 商品の販売、役務の提供を行う
【4】 報酬を販売高に応じて決定
【5】 費用は本人負担
不動産会社が、セールスマンの不動産の販売高に応じて支払う販売手数料や、
生命保険会社が、外交員の契約高に応じて支払う販売手数料が、
例として挙げられます。
売上高という成果に応じて報酬が決定するケースでは、
外注費であっても、外交員報酬に該当し、
源泉徴収の義務が発生する可能性ありと考えておきましょう。
3.外交員報酬の源泉所得税はどう計算するの?
外交員報酬の源泉所得税の計算方法です。
①課税標準
=(その月の消費税込の外交員報酬)-(120,000円-その月の給与)
②外交員報酬の源泉所得税
=課税標準×10.21%
3つのケースに分けて考えましょう。
【1】 外交員報酬(消費税込50万円)だけ受け取る場合
(500,000円-120,000円)×10.21%=38,798円
【2】 外交員報酬(消費税込50万円)と給与(10万円)を受け取る場合
500,000円-(120,000円-100,000円)=480,000円
480,000円×10.21%=49,008円
【3】 外交員報酬(消費税込50万円)と給与(15万円)を受け取る場合
500,000円-(120,000円-120,000円)=500,000円
500,000円×10.21%=51,050円
給与が12万円を超えると、外交員報酬から控除する金額はゼロです。
消費税抜の報酬金額をもとに計算することも可能です。
ただ、請求書に、本体価額と消費税の金額を明確に区分して
記載することが条件になります。
4.外交員報酬の源泉所得税はいつまでに納付するの?
外交員報酬を支払った月の翌月10日まで
外交員報酬を支払った月の翌月10日までに納付します。
給与の源泉所得税と異なり、半年ごとに支払うことはできません。
5.会社が外交員報酬を支払うメリットとは?
【1】外交員報酬は、社会保険料の対象にならない
反面、報酬の受取サイドは、将来の年金の受取額が少なくなる、
退職後に失業手当を受けられないデメリットがあります。
給与から外交員報酬に切り替える際は、一方的に切り替えるのは、控えましょう。
本人にデメリットが生じることを説明して、双方が納得の上で切り替えることが大切です。
【2】外交員報酬は、消費税の仕入税額控除ができる
給与として支給するケースより、消費税の節税になります。
6.会社が外交員報酬を支払うデメリットとは?
外交員報酬の源泉所得税の計算がやや煩雑になる
ひとりが給与と外交員報酬の両方を受け取る、
いわば「使用人兼務外交員」的な人について、
源泉所得税の計算がやや煩雑になるのがデメリットです。
7.まとめ
外注費にだからと言って、すべて源泉徴収が不要になるわけではありません。
売上高に応じて報酬が決まるような場合は、外交員報酬の可能性ありと
覚えておきましょう。
「外交員が確定申告するから同じじゃないの?」と言う方もいるでしょう。
外交員の自主的な確定申告に任せて、源泉徴収していない会社もあったりします。
外交員報酬の源泉徴収していない場合で、外交員本人が確定申告していれば、
税務調査では、猶予されるケースもあります。
中には、何年も確定申告をしていない外交員もいたりします。
税務調査でも、税理士サイドは対抗のしようがありません。
何年分もの源泉所得税として、1千万円とかのレベルで納税を余儀なくされたりします。
本人に源泉税を請求しても、「使ってしまい手元にない」というのがパターンです。
資金繰りには、大打撃ですね。やはり毎月、源泉所得税の納税をし、
外交員の人には、確定申告のやり方などを顧問税理士から指導してもらうようにしましょう。
外交員報酬は、原則として、外注費に該当する必要があります。
税務上、「外注費」か「給与」かの判断は、
「会社の指揮命令に服するか」「その仕事を他の会社に発注してやらせてもいいか」といった
難しい点を考慮する必要があります。ご注意ください。