所得税の予定納税では、減額承認申請をした方がいいの?
【所得税の予定納税の減額承認申請】
所得税の予定納税は、前年の所得税の1/3を、
7月末と11月末に、それぞれ納税します。
さまざまな理由で、前年レベルの利益まで
全く到達できないケースもあります。
では、所得税の予定納税の減額承認申請をした方が良いのでしょうか?
しない方が良いのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.所得税の予定納税の減額承認申請をすると、どうなるの?
2.所得税の予定納税の減額承認申請をしないと、どうなるの?
3.所得税の予定納税の減額承認申請をした方が良い場合とは?
4.所得税の予定納税の減額承認申請書は、いつまでに提出すればいいの?
5.所得税の予定納税の減額承認申請ができない場合とは?
6.まとめ
1.所得税の予定納税の減額承認申請をすると、どうなるの?
予定納税の金額を減らすことができる
前年の所得税が900,000円でした。
今年は、7月に300,000円、11月に300,000円の
予定納税をしなければなりません。
(900,000円×1/3=300,000円)
6月末の時点で、今年は明らかに赤字の見込みなら、
今年の年間の所得税はゼロが予想されます。
7月末と11月末に300,000円の納税は、おかしいですよね。
税務署に予定納税の減額承認申請書と6月末の試算表を提出すると、
予定納税をゼロにできます。資金繰りにはプラスに働き、
事業の立て直しを図れます。
2.所得税の予定納税の減額承認申請をしないと、どうなるの?
前年の所得税の1/3を、7月末と11月末に、それぞれ予定納税する
本来の予定納税通りに納税します。
7月末と11月末にそれぞれ300,000円の納税が確定します。
今年の赤字が確定すれば、確定申告後に、
600,000円が還付されます。
還付加算金が、年1.8%の利率で付きます。
マイナス金利の時代では、いい利率だから、
税務署に、来年の3月や4月満期の定期預金を
預ける感覚で納税する選択肢もあり得ます。
フリーキャッシュが余っているなら、良いでしょう。
不安があれば、不要不急の支出はしないことです。
還付加算金ねらいで、本業の資金繰りが悪化しては、本末転倒です。
3.所得税の予定納税の減額承認申請をした方が良い場合とは?
下記の8つの場合には、所得税の予定納税の減額承認申請をした方が良いと考えます。
【1】個人事業を廃止して、会社組織に変更した。
いわゆる法人成りです。
以後、個人の事業所得は発生しません。
【2】業績不振で、前年の利益レベルを明らかに下回る。
6月末までの月次決算を終了させる必要があります。
減少見込み額を申請します。
【3】災害で、事業用の建物や備品、機械に被害を受けた。
災害による損失分を、減額申請します。
【4】医療費がかさみ、前年の医療費控除額を上回る見込みである。
6月末までの半年間の医療費を集計する必要があります。
予定納税額の減少のみならず、来年の確定申告の下準備にもなります。
積極的に前倒ししましょう。
【5】小規模企業共済に加入した。
1月加入で月額70,000円なら、
年840,000円の控除額を申請します。
【6】賃貸不動産を売却した。
売却した賃貸不動産が生み出す利益分が減少します。
減少分を申請します。
【7】非上場株式を売却した。非上場株式を贈与した。
配当金の減少見込み額を申請します。
事業承継中の会社で、配当を実施するケースは、
検討しましょう。
【8】非上場株式で、昨年は配当があったが、今年は配当がない見込みである。
配当の減少分を申請します。
オーナー社長が確定申告する場合は、
検討しましょう。
税制の改正があった場合、納税額の見積もりは、
改正後の税制で計算します。
4.所得税の予定納税の減額承認申請書は、いつまでに提出すればいいの?
【1】7月1日から7月15日までの間
【2】11月1日から11月15日までの間
2回チャンスがあります。
1回目は、7月1日から7月15日までの間に提出します。
2回目は、11月1日から11月15日までの間に提出します。
1回目は、6月末の状況で納税額を見積もり、
2回目は、10月末の状況で納税額の見積もりします。
5.所得税の予定納税の減額承認申請ができない場合とは?
前年を上回る利益が見込まれる場合
前年を上回る利益が見込まれる場合は、
予定納税の減額承認申請は、できません。
6.まとめ
納税額が減少する見込みなら、
予定納税の減額承認申請をした方が良いでしょう。
予定通り納税して、還付加算金をねらう考え方もあります。
資金繰りに十分な余裕がないなら、申請しておきましょう。
本業の資金繰りを安定させることが大切です。