外国人の従業員に国外居住親族がいる場合の扶養控除を忘れていませんか?
【外国人の従業員に国外居住親族がいる場合の扶養控除】
外国人の方を従業員として雇用している会社も多くあると思います。
外国人の従業員の方に日本国外に居住する親族がいる場合、
平成28年以降に扶養控除を適用する際、一定の条件を満たす必要があります。
では、どのような条件を満たせば、
日本国外に居住する親族を扶養控除の対象とすることができるのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.平成28年以降、国外居住親族がいる場合の扶養控除の3つの条件とは?
2.国外居住親族がいる場合の扶養控除に必要な書類は、いつまでに準備すればいいの?
3.まとめ
1.平成28年以降、国外居住親族がいる場合の扶養控除の3つの条件とは?
【1】親族関係書類を会社が保管する必要あり
外国人の従業員が親族関係書類を会社に提出し、会社が保管します。
親族関係書類は、国外居住親族が外国人従業員の親族であることを証明する書類です。
次の①又は②のいずれかの書類で、必要に応じて③をプラスします。
①外国政府等が発行する戸籍の附表の写し、国外居住親族のパスポートの写し
②外国政府等が発行する戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書などで、国外居住親族の氏名、生年月日、住所の記載があるもの
③上記①、②の書類が外国語で作成されている場合、その書類の翻訳文
親族関係書類は、パスポートの写し以外、原本である必要があります。
発行日から何か月以内のものでなければならない、といった規定はありません。
できる限り最新の書類を準備した方がよいでしょう。
【2】送金関係書類を会社が保管する必要あり
外国人の従業員が送金関係書類を会社に提出し、会社が保管します。
送金関係書類は、外国人従業員がその年に国外居住親族の生活費や教育費を
必要な都度、送金したことを明らかにする書類です。
①金融機関の外国送金依頼書の控えで、外国人従業員が国外居住親族に送金したことを明らかにするもの
②外国人従業員本人のクレジットカード利用明細書で、国外居住親族が使用した金額を外国人従業員が支払うもの
③上記①、②の書類が外国語で作成されている場合、その書類の翻訳文
送金関係書類は、原本でなくても大丈夫です。(コピーでOK)
扶養控除をするには、国外居住親族と生計が一でなければなりません。
生計が一とは、同じ財布でごはんを食べているということです。
送金する金額の条件はありません。
親族が居住している外国で生活をするために通常必要な金額でないと、
税務調査の際に、扶養親族として認められない可能性もあります。
ご注意ください。
【3】国外に居住する親族が日本の非居住者である
国外に居住する親族が日本の非居住者である場合、
上記の親族関係書類と送金関係書類を会社に提出する必要があります。
非居住者は、外国に住所がある人や、1年以上外国に居住する人をいいます。
国外に居住する親族でも、1年以内の留学など、
1年以上外国に居住しないで日本に戻る人については、
親族関係書類や送金関係書類を準備する必要はありません。
2.国外居住親族がいる場合の扶養控除に必要な書類は、いつまでに準備すればいいの?
【1】親族関係書類は、その年最初に給与の支給を受けるときまで
親族関係書類は、その年最初に給与の支給を受けるときまでに会社に提出します。
通常最初の給与は1月です。1月の給与支給までに会社に提出します。
1月を過ぎたとしても、親族関係書類の準備ができ次第、会社へ提出しておきましょう。
【2】送金関係書類は、その年最後に給与の支給を受けるときまで
送金関係書類は、その年最後に給与の支給を受けるときまでに会社に提出します。
通常最後の給与は12月です。言い換えると、
年末調整をするときまでに、会社に提出することになります。
3.まとめ
国外居住親族について扶養控除を適用する場合、
平成28年以降は、親族関係書類や送金関係書類の準備が必要になります。
税務調査で不利益を受けないためにも、きちんと保管しておきましょう。