売買契約書の印紙税の節税対策には、紙とPDFのどちらがいいの?

【売買契約書の印紙税の節税対策には、紙か、PDFか】

不動産の売買契約書や金銭の消費貸借契約書は、
紙での作成が一般的です。
PDFも一般的になってきています。

契約書は紙で作った方がいいのでしょうか?
PDFで作った方がいいのでしょうか?
印紙税の観点を中心に考えてみましょう。

傘をさす笑顔の女子高生

 

目次
1.売買契約書等を紙で作成するメリットとは?
2.売買契約書等を紙で作成するデメリットとは?
3.売買契約書等をPDFで作成するメリットとは?
4.売買契約書等をPDFで作成するデメリットとは?
5.売買契約書等を紙で作成したい方へ 印紙節約の2つの方法とは?
6.まとめ

1.売買契約書等を紙で作成するメリットとは?

【1】安心感がある

紙の使用が一般化した時代から、不動産売買や金銭の貸借のシーンで、
長きにわたって活躍している紙の契約書は、PDFとは歴史が違います。
感覚的なものかもしれませんが、安心感があると考えます。

【2】改ざんが難しい

紙に印字されている文字を改ざんしようとすると、
紙面に何らかの痕跡が目に見える形で残ります。
紙は安全ですね。

2.売買契約書等を紙で作成するデメリットとは?

印紙税が課税される

一般的に不動産売買や金銭の貸借では、不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書を
紙で2部作成します。当事者がそれぞれ署名押印し、1部ずつ保管します。
作成した契約書2部のそれぞれに印紙を貼って消印する義務があります。

例えば、土地と建物を合計1億5千万円で売買するとします。
契約書1部につき、印紙6万円を貼って消印する必要があります。
当事者の双方が保管するために、契約書を2部作成すると印紙税は12万円必要です。

売主の土地や建物が3名の共有状態で、3名が契約書を保管しますと、
売主は6万円×3部=18万円、買主は6万円、合計24万円もかかります。
印紙だけで6万円の負担は大きいですよね。

金銭の貸借で借主側に保証人2人がいる場合、
当事者とあわせた4人全員が契約書を保管しようとすると、
同じような負担が発生します。

3.売買契約書等をPDFで作成するメリットとは?

【1】印紙税が課税されない

印紙税は、課税文書に課税されます。PDFは電子媒体です。
電子媒体は、文書ではありません。印紙税は課税されません。
契約書をPDFで作成すれば、印紙税の負担はゼロです。

【2】郵送代が不要

PDFをメール送信すれば、紙と違って郵送代は不要です。
ただ、メールの誤送信には、十分注意する必要があります。

4.売買契約書等をPDFで作成するデメリットとは?

【1】改ざんしやすい

電子データの内容を改ざんしても、一見して表面的には、その痕跡が残りません。
その道の専門家からしたら、残っているのかもしれませんが、そこは考慮していません。

【2】電子署名やタイムスタンプが必要

改ざんを防ぐため、電子署名とタイムスタンプが必要です。
面倒だなとか、抵抗感を感じたりするかもしれません。
ただ、時代の流れで、遅かれ早かれ一般的になると考えます。

5.売買契約書等を紙で作成したい方へ 印紙節約の2つの方法とは?

契約書がPDFでは、やはり不安という方もいらっしゃいます。
そんな方は、2つの方法を検討してみましょう。

【1】契約書を1部だけ作成し、もう1部はコピーする

印紙税は、課税文書である契約書に課税されます。
契約書のコピーは、課税文書に該当しません。印紙は不要です。
当事者の1人が契約書の原本を、もう1人はコピーを保管します。

不動産の売買で、売買金額が1億5千万円の場合、
売買契約書を2部作成すると12万円です。

1部をコピーにすると、合計6万円で済みます。
6万円の負担を折半すれば、1人3万円で済みます。
コピーの活用で、節税メリットを受けましょう。

【2】売買金額は税抜にすると有利

例えば、建物を税抜1億円で売買します。
売買契約書の建物代金を「税抜100,000,000円」と記載します。
印紙税は3万円になります。

建物代金を「税込108,000,000円」と記載します。
印紙税は6万円になります。

このケースでは、ボーダーラインの1億円を超えると、
印紙税の金額が高くなります。
ボーダーライン付近の金額で売買契約する場合、
税抜表示の方が、節税メリットがあります。

6.まとめ

契約書はPDFで作成して、マイナンバーカードによる電子署名、
さらにタイムスタンプをしておく方がよいでしょう。
印紙税が不要で、節税メリットが得られます。

人それぞれに考え方があります。
・PDFの契約書の保管に抵抗感がある
・マイナンバーに対して抵抗感がある
・マイナンバーカードを持ちたくない

契約書がいずれPDF化するのは、
時代の流れから、不可避と考えます。

ただ、抵抗感がある方が当事者にいるケースでは、
印紙税を負担してでも、気持ちがスッキリする方法を
採用する方がよいかもしれません。

なお、請負などで、注文書と注文請書による書面のやり取りから、
電子メールによるやり取りに変更すると、印紙税の節税メリットがあります。
紙の注文請書は課税文書で印紙税が課税されます。
PDFの注文請書は印紙税ゼロです。

注文請書の印紙で相当な金額になる会社もあるでしょう。
注文請書を紙からPDFに変更しても問題ないか、
業務フローを含めて、一度見直しをされてみるのもよいでしょう。