相続税の未成年者控除を忘れていませんか?
【相続税の未成年者控除】
未成年の方が、20歳に達するまでには、
養育費や教育費など、さまざまな経済的負担が発生します。
未成年方が遺産を相続する場合には、
相続税の未成年者控除を選択すると、
相続税の値引きを受けることができます。
では、相続税の未成年者控除を選択できるのは、
どのような場合なのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.相続税の未成年者控除を選択するための条件とは?
2.相続税の未成年者控除で控除することができる金額とは?
3.特別代理人の選任
4.まとめ
1.相続税の未成年者控除を選択するための4つの条件とは?
【1】20歳未満である
文字通り、20歳未満の未成年者である必要があります。
ご結婚されている方であっても、20歳未満の方であれば
未成年者控除を選択することができます。
【2】相続や遺贈で財産を取得している
相続や遺贈で財産を取得していない未成年の方は、
未成年者控除を選択することはできません。
遺産が未分割であっても、選択することができます。
【3】遺産を相続するとき、日本国内に住所がある
原則として、未成年の方が遺産を相続するとき、日本国内に住所があることが必要です。
例外として、日本国内に住所がなくても、
①日本国籍を有する
②亡くなった人、又は財産を相続した人が相続発生前5年以内に日本国内に住所を有していた
この2つの条件を満たすと、日本国内に住所がある場合と同様の取り扱いとなります。
もう一つ例外があります。
平成25年4月1日以後の相続に限定されます。
①日本国籍を有しない
②財産を相続したとき、亡くなった人が日本国内に住所を有している
この2つの条件を満たすと、やはり日本国内に住所がある場合と同様の取り扱いとなります。
【4】法定相続人である
未成年者の方が、亡くなった方の法定相続人であることが必要です。
相続の放棄をしたとしても、法定相続人であれば、
未成年者控除を選択することができます。
2.相続税の未成年者控除で控除することができる金額とは?
【1】未成年者控除の金額は、年10万円
未成年者控除の金額は、年10万円です。
年数は、相続発生日から20才になるまでの期間で計算します。
1年未満の端数があるときは、切り上げします。
10才の未成年者者の方ですと、
10万円×(20才-10才)=100万円
となります。
【2】未成年者の方の相続税から控除しきれない場合、扶養義務者から控除できる
未成年者控除の金額が、未成年者の方の相続税の金額よりも
大きくなることもあります。
未成年者の方の扶養義務者の相続税の金額から控除できます。
配偶者、直系血族、兄弟姉妹などが扶養義務者に該当します。
扶養義務者に相続税の納付税額があれば、
未成年者本人から控除できなかった未成年者控除の残額を控除しましょう。
未成年者の方が、過去の相続で未成年者控除の適用を受けています。
過去の相続で控除した未成年者控除の金額は、 今回の相続では控除できません。
前回の相続税の申告書の控えで確認しておきましょう。
3.特別代理人の選任
未成年者の相続税の申告は、原則として、未成年者の法定代理人である親権者が行います。
父が亡くなり、親権者である母と一人っ子の未成年者のふたりが相続人となる場合です。
このようなケースでは、母ひとりで遺産分割を、行うことになります。
そうすると、母自身の立場と子の法定代理人である立場とで、利益が相反します。
遺産分割協議や相続税の申告では、未成年者である子のために、特別代理人の選任が必要です。
特別代理人の選任は、家庭裁判所に申し立てをします。
通常、相続に関しては、親と子で利益が相反することが多いです。
未成年者の特別代理人を選任し、特別代理人が遺産分割協議や相続税の申告を行います。
ご注意ください。
4.まとめ
相続税の未成年者控除は、自分で申告しない限り、控除は認められません。
未成年者控除の選択を忘れても、税務署が教えてくれることは、ほとんどありません。
未成年者控除は、忘れずに申告しましょう。
未成年者の相続税の申告には、
通常、特別代理人の選任が必要になります。
お忘れのないよう、ご注意ください。