相続税の外国税額控除を忘れていませんか?
【相続税の外国税額控除】
父が亡くなり、子が相続人となりました。
相続により、子は日本の相続税だけでなく、外国の相続税も納税します。
国際化が進んでいる現在では、少なくありませんね。
そんなとき、相続税の外国税額控除を選択すると、
納付する相続税の値引きを受けることができます。
では、相続税の外国税額控除を選択できるのは、
どのような場合なのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.相続税の外国税額控除を選択するための2つの条件とは?
2.相続税の外国税額控除で控除できる金額とは?
3.相続税の外国税額控除を選択できる人とは?
4.まとめ
1.相続税の外国税額控除を選択するための2つの条件とは?
【1】外国にある財産を相続で取得
外国にある財産を、相続で取得していることが必要です。
外国にある財産の相続による取得でなくても、
次の3つの取得も含まれます。
①遺言で取得
②相続時精算課税贈与で取得
③亡くなった人から相続の年に暦年課税贈与で取得
【2】外国にある財産に、外国の相続税が課税された
外国にある財産に、その外国の相続税が課税されている必要があります。
相続人本人に、必ずしも外国の相続税が課税されている必要はありません。
日本の相続税は、財産を取得した人に相続税が課税されます。
外国の相続税の中には、アメリカやイギリスのように
遺産税方式を採用している国もあります。
遺産課税方式では、相続税は亡くなった人に課税されます。
亡くなった人の財産から相続税を控除し、残りの財産を分割します。
相続人には、相続税は課税されません。
このような場合でも、日本で、相続税の外国税額控除は可能です。
あくまで、外国にある財産に外国の相続税が課税されることが必要です。
財産を相続する人に、外国の相続税が課税される必要はありません。
2.相続税の外国税額控除で控除できる金額とは?
【1】原則:外国にある財産に課税された外国の相続税の全額を控除できる
外国にある財産に課税された、外国の相続税の全額を、
納付する相続税から控除することができます。
日本円への換算は、為替レートは電信売相場(TTS)を使用します。
外国の相続税の納期限の日か、
国内から送金する日のどちらか有利なレートを選択しましょう。
【2】例外:外国の相続税のうち、日本の相続税を超える部分は外国税額控除できない
外国にある財産に課税された相続税の全額を
控除できない場合もあります。
外国の財産に課税される外国の相続税が、
外国の財産に課税される日本の相続税より高い場合も想定されます。
その場合には、外国の相続税のうち、日本の相続税を超える部分は
外国税額控除の適用を受けることができません。
外国税額控除の趣旨としては、同一の相続財産に
日本と外国の相続税がダブルで課税されるのはかわいそう、
値引きしましょうということです。
日本の相続税を超える、二重に課税されない部分は
値引になりません。
ご注意ください。
具体的には、外国税額控除の限度額として、次の計算をします。
外国の相続税が、この限度額を超える場合、
外国税額控除額は、限度額の金額となります。
対象者の相続税 × 外国の財産の価額/対象者が相続で取得した財産の価額
財産の価額は債務控除をした後の金額です。
3.相続税の外国税額控除を選択できる人とは?
外国税額控除を選択できる人は、2つの条件を満たす人です。
【1】外国にある財産を相続で取得した人
【2】取得した外国にある財産に、外国の相続税が課税されている
4.まとめ
相続税の外国税額控除による相続税の節税メリットは、
自分で申告しない限り、受けることはできません。
税務署が進んでアドバイスをしてくれることはないと考えましょう。
①外国にある財産を相続で取得した
②取得した外国にある財産に、外国の相続税が課税されている
2つの条件に該当するなら、
相続税の外国税額控除の選択を忘れないようにしましょう。