名義預金は、誰の相続財産として相続税の申告をすればいいの?

【家族名義の、いわゆる名義預金】

父母が子供の将来のため、
祖父母が孫の将来のため、
子供や孫の名義で銀行預金を作ることは、
多いのではないでしょうか。

それなりの金額が預金されています。
父母や祖父母に相続が発生しました。

家族名義の預金は、誰の相続財産として
相続税の申告をすれば良いのでしょうか?
考えてみましょう。

小さい女の子

目次
1.家族名義の預金は、誰の相続財産として相続税の申告をすればいいの?
2.家族名義の預金を名義預金として、相続税の申告義務を指摘されないために、何をすればいいの?
3.まとめ

1.家族名義の預金は、誰の相続財産として相続税の申告をすればいいの?

子や孫をはじめとする家族名義の預金を、
父母や祖父母の相続財産として
相続税の申告をするかどうかです。

自分の相続財産にしたくないから
子や孫の名義にしました。

そうであれば、父母や祖父母の相続財産として
申告しなければなりません。

父母や祖父母が、子や孫の将来のため、現金を贈与しました。
現実には、これが本当の気持ちであることが、
ほとんどではないでしょうか?

そうであるなら、
父母や祖父母の相続財産として
相続税の申告する必要はありません。

純粋な親心や祖父母の心を、
税務的なことで踏みにじられないようにしましょう。
そのために、やっておくべきことがあります。

2.家族名義の預金を名義預金として、相続税の申告義務を指摘されないために、何をすればいいの?

【1】子や孫に現金を贈与したことを伝える

現金の贈与の成立条件は、2つあります。

①現金を贈与する人が、贈与を受ける人に、その意思を伝える

②現金の贈与を受ける人が、贈与を受ける意思を相手に伝える

家族名義の預金を作っておいて、
名義人がそのことを知りません。
税務調査で、名義人に預金だと主張することは、難しいです。

子や孫に現金の贈与の意思伝えましょう。
「ありがとうございます。受け取ります。」
子や孫から、意思表示を受けておきましょう。

【2】預金通帳や口座の印鑑を子や孫に渡しておく

お互いに意思表示をして贈与が成立しました。
通帳と印鑑は、父母や祖父母が管理しています。
これでは、子や孫に現金を贈与したとは、言えません。

子や孫に預金通帳や印鑑を渡しておきましょう。
無駄遣いが心配であるなら、通帳や印鑑の管理契約書を
作成したうえで、父母や祖父母が管理するようにしましょう。

【3】贈与契約書を作成する

現金の贈与は、口頭でも成立します。
現金の贈与があったことを、税務調査官など第三者に主張するために、
贈与契約書を作成しておきましょう。

父Aが子Bに、現金1,000,000円を贈与した。
子Bは父Aに、財産を受ける意思を伝えた。
贈与契約書には、こういった内容を記載します。

そのうえで、
贈与者と受贈者の双方が
署名押印しておきましょう。

公証役場で確定日付をもらっておくと、なお良いでしょう。
確定日付は、その日に贈与契約書が存在したことを
証明してくれます。

確定日付の印は、贈与があってから何年もたって
贈与契約書を作成したのではないことを、
語ってくれます。

なお、現金の受け渡しは、
振込にしておきましょう。
現金と違って、確実に記録が残ります。

【4】贈与税の申告をする

贈与した現金が基礎控除110万円を超えました。
贈与税の申告を忘れないようにしましょう。
110万円以下であれば、贈与税の申告義務はありません。

3.まとめ

家族名義の預金を、誰の相続財産として申告するかは、
「実質的に、本当は誰の預金なのか」で決まります。

子や孫をはじめとする家族名義の預金を作成するのは、
子供たちや孫たちの将来を思って現金を贈与したい、
こういった気持であることが、ほとんどです。

気持ちを現実のものとするため、
お互いにの双方の意思を確認し、
贈与契約書を作成しておきましょう。

「贈与税の申告をしておけば大丈夫じゃないの?」
こういった方もいるかもしれません。

贈与税の申告をしさえすれば、
課税当局は、必ず贈与があったと認定する
わけではありません。

現実に、贈与を認定しなかった裁決事例も存在します。

贈与契約書は、
贈与と同時に作成しておきましょう。

夫婦間での話です。
夫の給料から妻がコツコツと、
妻名義で数千万円の預金をしました。

夫に相続がありました。
妻にそれなりの所得がない限り、
妻名義の預金は、夫の相続財産と認定される
可能性が高いです。

夫婦間であっても、あいまいにするのは避けましょう。
贈与の意思を双方確認のうえで、
その都度、贈与契約書を作成しておくことが大切です。