会社の株券は不発行がいいの?

【会社の株券の発行、不発行】

現在の会社法では、株券は原則として不発行となっています。
定款に株券を発行する旨を定めた場合には、
例外として株券を発行することができます。

では、会社の株券は発行した方がよいのでしょうか?
発行しない方がよいのでしょうか?
考えてみましょう。

株価画面

目次
1.会社の株券を発行しないメリットとは?
2.会社の株券を発行しないデメリットとは?
3.会社の株券を発行するメリットとは?
4.会社の株券を廃止するには?

5.まとめ

1.会社の株券を発行しないメリットとは?

【1】株券を紛失することがない

そもそも株券を発行しませんので、紛失する可能性はゼロになります。
会社が株券を発行し、株主が株券を紛失してしまうと、
会社に都合の悪い第三者が株主になってしまう可能性もあります。

株券の譲受者が、株券を譲り受けた時に、
譲渡者が無権利であることを知らず、知らないことについて重過失がなければ
株券の譲受者は、株主の権利を取得することになります。

たとえ株式の譲渡が株主総会や取締役会の承認を要することとしていても
上記の取り扱いは変わりません。
会社に都合の悪い第三者が株主になってしまう可能性が残ります。

会社が株券を取得した第三者から株式取得の承認を求められた場合、
承認したくなければ、会社が第三者から株式を買い取らなければならなくなります。
買い取り価額で合意できなければ、裁判での価格決定もあり得ます。

【2】株券の作成、印刷の費用がかからない

株券を発行しなければ、当然といえば当然ですが、
株券作成のための印刷費用などは一切かかりません。
コスト面でもメリットがあります。

2.会社の株券を発行しないデメリットとは?

株主名簿の記載事項について厳格な管理が必要

株券発行会社では、株主は株券を占有することで
対外的に株主であることを証明できました。
株券不発行の会社では、株券を占有できません。

株券不発行会社で、株主が対外的に株主であることを証明するためには、
会社に株主名簿記載事項証明書の発行を請求します。
発行された証明書で対外的に株主であることを証明します。

会社は株主名簿の管理を厳格にする必要があります。

3.会社の株券を発行するメリットとは?

株券発行のメリットは特にない

株券を発行するメリットは、特にないと考えます。
会社を新規設立する場合は、はじめから株券不発行を選択した方が良いでしょう。
すでに株券発行をしている会社は、株券の廃止手続きをした方が良いでしょう。

4.会社の株券を廃止するには?

株主総会の特別決議で定款を変更する

株主総会の特別決議で、
定款に記載されている株券を発行する旨を
株券を発行しない旨に変更します。

株券廃止日の2週間前までに
株券を廃止する旨を公告し、
株主に株券を廃止する旨の通知をします。

会社は株券を回収する必要はありません。
株券廃止日に株券は無効になります。

5.まとめ

会社の株券は発行しない方が良いでしょう。
新規に設立する会社なら、
設立当初から株券不発行を選択します。

株券発行会社なら、
定款変更をして株券を廃止し、
株券不発行会社になりましょう。