多世帯同居のための改修工事をした場合の税額控除を忘れていませんか?
【多世帯同居のための改修工事の税額控除】
平成28年度税制改正で新しい税額控除ができました。
平成28年4月1日から、個人の住まいを多世帯同居に対応するための改修工事をした場合、
一定の条件に該当すれば、 所得税について多世帯同居のための改修工事の税額控除を適用できます。
では、多世帯同居の改修工事の税額控除を適用できるのは、
どんな場合なのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.多世帯同居のための改修工事の税額控除を適用するための条件とは?
2.多世帯同居のための改修工事の税額控除で、控除できる税額はいくらなの?
3.まとめ
1.多世帯同居のための改修工事の税額控除を適用するための条件とは?
【1】キッチン、浴室、トイレ、玄関の最低1つを増設すること
既存のキッチン、浴室、トイレ、玄関の改修工事では、
多世帯同居の税額控除の対象になりません。
【2】キッチン、浴室、トイレ、玄関の最低2つ以上が、最低2つ以上になること
キッチン、浴室、トイレ、玄関がすべて1つの住宅であれば、
どれか2つを、2つ以上増設する必要があります。
【3】増改築の工事証明書を税務署に提出すること
建築士や住宅性能評価機関から条件に該当する工事である証明書を発行してもらい、
確定申告書と一緒に税務署へ提出する必要があります。
【4】平成28年4月1日から平成31年6月30日までに多世帯同居工事をして、その住宅に住むこと
平成28年4月1日から平成31年6月30日までの期間限定です。
多世帯同居工事を検討されている方は、適用期間に注意しましょう。
住宅は、自己所有のものに限られます。
【5】合計所得金額が3,000万円以下であること
合計所得金額が3,000万円以下であることが必要です。
上場株式の譲渡損失の繰越控除を受けるために、特定口座の譲渡益を確定申告する場合などは
3,000万円を超えないように注意しましょう。
【6】工事後の床面積が50㎡以上であること
床面積は、建物の謄本の面積で判定します。
【7】住宅ローン控除を適用していないこと
住宅ローン控除と多世帯同居の改修工事の税額控除とは、
同時に適用することはできません。
有利な方を選択して適用しましょう。
2.多世帯同居のための改修工事の税額控除で、控除できる税額はいくらなの?
ローンなしタイプとローンありタイプのどちらかを選択できます。
【1】ローンなしタイプ
①と②の少ない金額を所得税から控除できます。
①多世帯同居の改修工事の標準費用×10%
②25万円
多世帯同居の改修工事の標準費用として、下記が定められています。
標準的な工事費用が合計で50万円を超える必要があります。
受取った補助金の金額は工事の標準費用から控除します。
※1 キッチンの増設
通常のキッチン 1,649,200円
ミニキッチン 434,700円
※2 浴室の増設
給湯設備の設置あり 1,406,000円
給湯設備の設置なし 837,800円
※3 トイレの増設
532,100円
※4 地上階の玄関の増設
655,300円
【2】ローンありタイプ
①と②の少ない金額を、5年間所得税から控除できます。(最高62.5万円)
①多世帯同居工事の標準費用(最高250万円)×2%+その他工事費(最高750万円)×1%
②12.5万円
ローンありタイプは、上記以外にも、
増改築の住宅ローン控除と同じ条件を満たす必要があります。
※ 借入金の償還期間が5年以上 など
3.まとめ
多世帯同居のための改修工事の税額控除は、所得税の値引きです。
該当する場合は、忘れずに適用しましょう。
多世帯同居のための改修工事をローンで行った場合に、
住宅ローン控除の条件に該当すれば
住宅ローン控除を選択することもできます。
シミュレーションのうえで、
どちらか有利な方を選択しましょう。