ストックオプションを税制適格にすること、忘れていませんか?
【税制適格ストックオプション】
役員や従業員にストックオプションを付与する会社もあると思います。
この場合、一定条件を満たすと、ストックオプションが税制適格となり、
ストックオプションを付与される役員や従業員は税務メリットを受けられます。
では、どのような場合に、
ストックオプションが税制適格になるのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.税制適格ストックオプションの取得者のメリットとは?
2.税制適格ストックオプションの条件とは?
3.まとめ
1.税制適格ストックオプションの取得者のメリットとは?
税制適格ストックオプションの取得者のメリットを、
ストックオプションの取得時、権利行使時、株式譲渡時に分けて
税制非適格の場合と比較しながら、考えてみましょう。
譲渡価額100円
権利行使時の株式の時価 80円
権利行使価額 50円
と仮定します。
【1】ストックオプション取得時
①税制適格の場合・・・課税されない
②税制非適格の場合・・・課税されない
取得時は、
税制適格、非適格を問わず
課税関係は発生しません。
【2】権利行使時
①税制適格の場合 ・・・ 課税されない
②税制非適格の場合・・・権利行使時の株式の時価-権利行使価額=給与所得
税制適格の場合は、
課税関係は発生しません。
税制非適格の場合は、ストックオプションの取得者が権利行使をしたとき、
権利行使時の株式の時価80円から権利行使価額50円を控除した金額30円は、
給与所得として課税されます。
【3】株式譲渡時
①税制適格の場合 ・・・ 譲渡価額-権利行使価額=譲渡所得
②税制非適格の場合 ・・・ 譲渡価額-権利行使時の株式の時価=譲渡所得
税制適格の場合、ストックオプションの取得者が権利行使後に株式を譲渡したとき、
譲渡価額100円から権利行使価額50円を控除した金額50円が
譲渡所得として課税されます。
税制非適格の場合は、
譲渡価額100円から権利行使時の株式の時価80円を控除した金額20円が、
譲渡所得として課税されます。
税制適格・・・株式譲渡時に50円が譲渡所得として課税される
税制非適格・・・権利行使時に30円が給与所得として課税される
株式譲渡時に20円が譲渡所得として課税される
どちらも2つの点は、同じです。
・合計で50円が課税される
・20円は株式譲渡時に譲渡所得として課税される
30円は、税制非適格では権利行使時に給与所得として課税されますが、
税制適格では、権利行使時に譲渡所得として課税されます。
上記より、税制適格では、次のメリットがあります。
・課税のタイミングを株式譲渡時まで先送りできる
・超過累進税率が適用される給与所得でなく、
一定税率の譲渡所得となるため、通常は有利となる
2.税制適格ストックオプションの条件とは?
次のすべての条件を満たすストックオプションが
税制適格となります。
【1】会社の役員や従業員、子会社などの役員や従業員に付与すること
【2】株式保有割合が1/3を超える株主でないこと(非上場株式の場合)
【3】新株予約権が無償発行されていること
【4】新株予約権の譲渡が禁止されていること
【5】権利行使価額は付与決議したときの株式の時価以上であること
【6】権利行使価額は年間1,200万円を超えないこと
【7】権利行使は付与決議時から2年を超え、10年以内に行われること
【8】付与会社が証券会社等に株式の管理委託をすること
【9】新株予約権の付与に関する支払調書を提出していること
3.まとめ
ストックオプションの取得者の税務メリットを享受するため、
可能なら税制適格の条件を満たすように
ストックオプションを設計しましょう。