退職していなくても役員退職金を経費に落とせるの?分掌変更による打切り支給とは?
【分掌変更による役員退職金の打切り支給】
役員退職金は、役員が退職した事実を前提として経費に落とすことができます。
実際に役員を退職していなくても、分掌変更などで実質的に退職したと同様の事情にある場合にも
役員退職金を経費に落とすことができます。(役員退職金の打切り支給)
では、どのような場合に、
役員退職金の打切り支給をすることができるのでしょうか?
考えてみましょう。
目次
1.役員が退職していないのに役員退職金を経費に落とせる場合とは?
2.経営上主要な地位を占めないようにしましょう
3.まとめ
1.役員が退職していないのに役員退職金を経費に落とせる場合とは?
役員が実質的に退職したと同様の事情にある場合、
役員退職金を経費に落とすことができます。
次の3つのケースが例として挙げられます。
【1】常勤役員が非常勤役員になった
次の非常勤役員は、除外されます。
①代表権を有する非常勤役員
②実質的に法人の経営上主要な地位を占めていると認められる、代表権のない非常勤役員
【2】取締役が監査役になった
次の監査役は、除外されます。
①実質的に法人の経営上主要な地位を占めていると認められる監査役
②使用人兼務役員になることができない大株主の条件を満たす監査役
【3】分掌変更などで報酬の額がおおむね50%以上減少した
報酬の額が50%以上減少した人でも、
次の人は除外されます。
実質的に法人の経営上主要な地位を占めていると認められる人
2.経営上主要な地位を占めないようにしましょう
分掌変更などの現実に役員の退職を伴わない場合に、
役員退職金を経費に落とすためには、
会社の経営に従事していてはダメということに注意しましょう。
・常勤役員が非常勤役員になる
・取締役が監査役になる
・報酬を50%以上減額する
形式的に3つに該当しさえすれば、
役員退職金を経費に落とすことが
できるわけではありません。
この3つはあくまで実質的に退職したと
同様の事情にある場合の例示です。
会社の経営計画策定や実行、増資や借入などの資金調達、
採用などの人事、新規事業への参入や合併などの
会社の重要事項の決定に発言権や影響力をもっていてはダメです。
できれば取締役を外れるた方がよいでしょう。
外れない場合でも会社への出勤回数を最少限度にするなど、
経営に従事していないことを明確にしておきましょう。
3.まとめ
分掌変更による役員退職金では、
役員が経営上主要な地位を占めていないことを
客観的に証明できることが大切です。
できれば取締役を外れておくのがよいでしょう。
分掌変更の場合の役員退職金は、
未払計上が認められません。ご注意ください。