役員貸付金の利息はいくらにすればいいの?

【役員貸付金の利息】

会社が役員貸付金を有することは、あまり好ましいことではありません。
やむを得ず、貸付を受けないといけないケースもあると思います。
この場合、利息が低すぎると、役員に対する給与認定を受けることがあります。

では、この役員貸付金に対する利息は、
どのように計算すれば良いのでしょうか?
考えてみましょう。

高原の森林

目次
1.役員貸付金の利息はどのように計算するの?
2.役員貸付金を低い利息で貸し付けると、どうなるの?
3.まとめ

1.役員貸付金の利息はどのように計算するの?

役員に対する認定給与を避けるためには、利率はどうすればよいのでしょうか。
役員貸付金の利息を計算するときの利率は、通常、下記の利率を採用します。
通常の利率は、会社に銀行等からの借入金の有無によって異なります。

【1】会社に銀行等からの借入金がない場合 

①平成27年以降・・・年1.8%の利率

②平成26年・・・年1.9%の利率

③平成22年から平成25年・・・年4.3%の利率

【2】会社に銀行等からの借入金がある場合

①役員貸付金と銀行等からの借入金がひも付きであるとき

銀行等からの借入金の利率

②役員貸付金と銀行等からの借入金がひも付きでないとき

銀行等からの借入金の平均利率

上記の利率以上の利率で利息を計算すれば、
役員に対する給与認定を受けることはありません。

2.役員貸付金を低い利息で貸し付けると、どうなるの?

【1】通常の利率による利息-低い利率による利息=認定給与

役員貸付金に対する利息を、上記の利率よりも低い利率で計算すると
通常の利息との差額を給与として認定されます。
源泉徴収の必要が発生してしまいます。

【2】認定給与とされない場合

次の場合は、低い利率で貸し付けても
通常の利息との差額を給与として認定されません。

①通常の利率による利息と低い利率による利息との差額が年5,000円以下であるとき

②災害や病気などで、臨時に多額の生活資金が必要になった場合、合理的な金額で貸し付けるとき

3.まとめ

会社が役員に資金を貸し付けるときは、
無利息にすると、税務調査で会社の利息収入の計上もれ、
認定給与の源泉徴収もれを指摘される可能性があります。

役員貸付金に対しては、通常の貸付利率を採用して、
利息収入の計上もれや認定給与の源泉徴収もれの
指摘を避けるようにしましょう。

会社が役員に資金を貸し付けることは、
会社と役員の利益が相反する、利益相反取引に該当します。
下記の3つを確実に行いましょう。

①株主総会や取締役会で利益相反取引の決議をしておく
②決議内容を議事録に記載のうえ保管しておく
③会社と役員との間で金銭消費貸借契約書を作成し、利息や返済方法を明確にしておく