消費税の課税事業者になったとき、棚卸資産の調整を忘れていませんか?

【消費税の課税事業者になったときの棚卸資産の調整】

消費税の免税事業者から課税事業者になったときには、
期首の棚卸資産について、消費税の調整(仕入税額控除)をすることができます。
どのような調整をするのでしょうか?
考えてみましょう。

海岸の釣り人

目次
1.課税事業者になったときの棚卸資産の調整とは?
2.まとめ

1.課税事業者になったときの棚卸資産の調整とは?

【1】原則:期首の棚卸資産の消費税は仕入税額控除できる

前期が消費税の免税事業者であったとします。
消費税の納税義務はありませんので、税込経理を採用します。
棚卸資産の取得価額も税込金額となり、売上の消費税から控除しません。

例えば、108,000円で仕入した商品が前期末で在庫となりました。
当期から消費税の課税事業者になった場合、
消費税8,000円は、当期に売上の消費税からの控除が可能です。

期首の棚卸資産は、前期に仕入したものです。
当期から消費税の課税事業者になったときは、
当期に仕入をしたものとみなすことができるのです。

前期の在庫は、通常、当期に売却されます。
もしも仕入した前期に仕入の消費税が控除できず、
当期の売上の消費税だけ納税するのは、ちょっとおかしいですね。

【2】例外:簡易課税を選択しているときは、期首棚卸資産の消費税は控除できない

当期から課税事業者になったとき、
期首在庫の消費税を売上の消費税から控除できるのは、
簡易課税を選択していない場合のみです。

簡易課税を選択している場合には、
期首在庫の消費税を控除しないよう
ご注意ください。

2.まとめ

当期から消費税の課税事業者になる場合に、
消費税の簡易課税を選択していなければ、期首の棚卸資産の消費税を
売上の消費税から控除することを忘れないようにしましょう。

消費税の節税メリットを受けることができます。
うっかり忘れは、もったいないです。
期首の棚卸資産の在庫表を保存しておくことを忘れないようにしましょう。

逆に、翌期から免税事業者になるときは、
当期末の棚卸資産の消費税を売上の消費税から控除することはできません。
うっかり控除してしまい、税務調査で指摘されることのないようご注意ください。