法人税の節税対策です。4つの節税対策うち、どれを選択しますか?

【法人税の節税対策の本質】

「黒字になるのはいいんだけど、法人税がたいへんだ。」
「法人税の負担を少しでも減らしたい」
このような経営者の方も、いらっしゃると思います。

法人税を減らすため、節税対策を講じます。
大きく分けると、
4つの節税対策しかありません。

では、4つの節税対策のうち、どれを選択すれば良いのでしょうか?
法人税の節税対策の本質について、
考えてみましょう。

雨に負けない女性

目次
1.法人税の節税対策の本質 4つの対策とは?
2.収益を減らす節税対策
3.費用を増やす節税対策
4.法人税率を下げる節税対策
5.税額控除額を増やす節税対策
6.まとめ

1.法人税の節税対策の本質 4つの対策とは?

(「収益」-「費用」)×「法人税率」-「税額控除額」
=「法人税」

「法人税」の計算です。
「収益」から「費用」を差し引いて
「利益」を計算します。

「利益」に「法人税率」を乗じた金額から、
「税額控除額」を控除します。

(「収益」-「費用」)×「法人税率」-「税額控除額」
=「法人税」

よくよくご覧ください。
法人税の計算過程から、
法人税の節税対策の本質が見えてきます。

収益を減らせば、法人税が減ります。
費用を増やせば、法人税が減ります。
法人税率を下げれば、法人税が減ります。
税額控除額を増やせば、法人税が減ります。

そうです。
この4つの対策しか、ありませんね。

①収益を減らす対策

②費用を増やす対策

③法人税率を下げる対策

④税額控除額を増やす対策

いろいろな節税対策を、
見聞きすることもあるでしょう。
どんなに複雑な節税対策でも、
4つのどれかに当てはまります。

収益を減らすには、どうすればいいのか?
費用を増やすには、どうすればいいのか?
法人税率を下げるには、どうすればいいのか?
税控除額を増やすには、どうすればいいのか?

この4つをよく検討します。そのうえで、
より効果的な対策を、組み合わせて実行します。
これが、節税の本質的な考え方です。

「なんだ、そんなことか。」
「そんなこと分かっているよ。」
思われる方もいらっしゃるかもしれません。

上場企業であっても、中小企業であっても、
会社の規模は、関係ありません。
すべての会社に共通するたいへん重要な考え方です。
よくよく理解しておきましょう。

2.収益を減らす節税対策

収益を翌期に先送りする、課税の繰り延べを中心とした対策

製品の納品を、翌期に変更します。
当期は収益が減って、法人税が減ります。
翌期は、利益が増えて、法人税が増えます。

収益を減らす節税対策は、このように、
課税の繰り延べに該当することが多いです
この場合は、現金の入金も遅れます。

資金繰りを考慮して、活用しましょう。

3.費用を増やす節税対策

現金支出で費用を前倒しする、課税の繰り延べを中心とした対策

翌期に予定していた広告宣伝費の支出を、当期に変更します。
当期は費用が増えて、法人税が減ります。
翌期は、費用が減って、法人税が増えます。

費用を増やす節税対策は、
現金の支出が必要なうえ
課税の繰り延べに該当することが多いです。

資金繰りに注意して、活用しましょう。

4.法人税率を下げる節税対策

法人税の値引きを勝ち取る対策

中小法人です。
法人税は、利益800万円を超えると、
税率が15%から23.4%にアップします。

収益を減らす対策と、
費用を増やす対策を組み合わせます。
利益を800万円以下に抑えます。

8.4%分の法人税が値引きされますね。

利益が800万円を超える中小法人では、
利益を800万円以下に抑えられないか
検討してみましょう。

5.税額控除額を増やす節税対策

法人税の値引きを勝ち取る対策

当期の法人税から直接控除します。
法人税の課税の繰り延べではありません。
翌期の法人税が増えることは、ありません。

法人税の値引きと考えられます。

①所得拡大税制の税額控除

従業員の給与が、基準年度の給与より
一定割合以上増加します。
増加した給与の一定割合を、法人税から控除できます。

②中小企業投資促進税制の税額控除

一定金額以上の機械装置等を取得します。
取得価額の一定割合を、法人税から控除できます。

③生産性向上設備投資促進税制の税額控除

一定金額以上の生産性向上設備等を取得します。
取得価額の一定割合を、法人税から控除できます。

他にも税額控除の規定はあります。
適用可能なものは、忘れることなく適用しましょう。

課税の繰り延べではありません。
法人税の値引きになります。

6.まとめ

法人税の節税対策です。
本質的に4つの対策しかありません。

①収益を減らす節税対策
②費用を増やす節税対策
③法人税率を下げる節税対策
④税額控除額を増やす節税対策

どれか一つだけを選んで対策することは、ほとんどないでしょう。
4つの対策を組み合わせて、より大きな節税効果を得られるよう
対策してゆきます。

費用を増やす対策が中心になることが多いです。
課税の繰り延べを有効活用します。
現金支出を伴う際は、資金繰りに注意しましょう。
税額控除は、忘れずに活用します。

税務上では、益金、損金、所得の概念を使います。
会計上の収益、費用、利益とは異なります。
分かりやすくするため、収益、費用、利益の表現を使っています。

法人税の節税を考えるとき、4つを意識しましょう。
ひょんなことから、対策が浮かぶことがあります。