災害減免法による所得税の軽減免除を忘れていませんか?

【災害減免法による所得税の軽減免除】

平成28年も残念ながら地震や台風などによる自然災害が起こってしまっています。
被災された方は、復旧や復興に大変な思いをされていると思います。
いつどこで誰が被災するかは全くわかりません。

被災してしまった方はもちろん、被災していない方も、
被災された方を税金面で救済する制度を
知っておく必要があるのではないでしょうか?

税金面での災害からの救済制度は複数ありますが、
今回は、災害減免法による所得税の軽減免除について考えてみましょう。

土嚢

目次
1.災害減免法で軽減免除される所得税額はいくらなの?
2.災害減免法で所得税の軽減免除を受けるための3つの条件とは?
3.罹災証明書は必要なの?

4.まとめ

1.災害減免法で軽減免除される所得税額はいくらなの?

災害減免法で軽減免除される所得税額は、
個人の所得金額がいくらなのかによって決められています。

【1】個人の所得金額が500万円以下の場合

所得税額の全額を軽減免除

【2】個人の所得金額が500万円超750万円以下の場合

所得税額の1/2を軽減免除

【3】個人の所得金額が750万円超1,000万円以下の場合

所得税額の1/4を軽減免除

【4】個人の所得金額が1,000万円超の場合

所得税額の軽減免除はゼロ

被災した時期が年末まで時間があるときは、
所得税の減免金額が減少してしまう所得金額のボーダーラインを意識して、
所得税の減免金額が大きくなるようにしましょう。

2.災害減免法で所得税の軽減免除を受けるための3つの条件とは?

被災者全員が災害減免法で所得税の軽減や免除を受けることができればいいのですが、
条件が決められています。

【1】災害を受けた住宅や家財の損害金額が時価の1/2以上

住宅や家財の損害金額が時価の1/2以上であれば、災害減免法の適用を受けることができます。
ただ、損害保険金などを受け取っているときは、
損害金額から保険金額を控除した金額が1/2以上かどうかで判定します。

【2】所得金額が1,000万円以下

所得金額が1,000万円以下では、災害減免法による所得税の軽減免除はできません。
ボーダーラインの方は、それどころでないかもしれませんが、意識しておくと良いでしょう。
所得金額が1,000万円を超えても、適用条件に該当すれば雑損控除が適用できます。

【3】雑損控除の適用を受けていない

被災した個人の所得税の救済制度として、雑損控除があります。
災害減免法による所得税の軽減免除と雑損控除は、どちらか一方を選択できます。
雑損控除を適用すると、災害減免法は適用できません。

両方の条件を満たす場合は、シミュレーションのうえ有利な方を選択しましょう。
一般的に所得金額が500万円以下であれば、所得税が全額減免される
災害減免法を選択した方が有利な場合が多いです。

3.罹災証明書は必要なの?

罹災証明書は必ずしも必要ではない

災害減免法で所得税の減免を受ける場合、
罹災証明書の添付は必ずしも必要というわけではありません。
ただ、確定申告書には被害の状況や損害金額を記載する必要があります。

損害金額を個人がはじき出すことは現実問題として難しいです。
損害金額が時価の1/2以上かどうかの判断は、
罹災証明書を利用するのがよいと考えます。

保険金の請求などにも使用すると思いますので、
申請期限前の早いうちに市区町村などへ罹災証明書を請求しておきましょう。

4.まとめ

被災したときは、肉体的にも精神的にも負担が大きく、
税金の優遇を受けるどころではないかもしれません。

自然災害でいつ被災者になるかは、誰にも分りません。
被災せずに日常生活を送っているときにこそ、
被災したときに選択可能な税金の優遇制度をおさえておきましょう。