法人税の申告期限の延長は、した方がいいの?

【法人税の申告期限の延長】

「うちは中小企業だから、公認会計士さんには無縁だよ。」
とおっやる経営者の方も多いのではないでしょうか。
会計士さんとはあまり縁がなくても、 申告期限の延長にも無縁でいて良いのでしょうか?

法人税の申告期限の延長は、した方が良いのでしょうか?
しない方が良いのでしょうか?
考えてみましょう。

カットされたメロン

目次
1.法人税の申告期限の延長は必要なの?
2.法人税の申告期限の延長のメリットとは?
3.法人税の申告期限の延長のデメリットとは?

4.納期限も延長できるの?
5.消費税の申告期限の延長もできるの?
6.法人税の申告期限の延長の申請は、いつまでにすればいいの?
7.まとめ

1.法人税の申告期限の延長は必要なの?

【1】上場会社の場合の法人税の申告期限の延長

上場会社では、法人税の申告期限の延長は必須

上場会社では、監査法人や公認会計士の会計監査を受ける必要があります。
決算日から2か月以内の株主総会の開催と、法人税の申告書の提出は困難です。

法人税の申告期限の延長の特例の申請をして、決算日から3か月以内に
法人税の申告書を提出するのが一般的です。

【2】非上場会社の場合の法人税の申告期限の延長

非上場会社では、法人税の申告期限の延長は必ずしも必要ではない

非上場会社では、資本金5億円以上の会社など、一部の会社を除いて、
監査法人や公認会計士の会計監査を受ける必要はありません。

決算日から2か月以内に株主総会を開いて、決算を確定させ、
法人税の申告書を提出することが可能です。

大多数の非上場の中小企業にとって、
法人税の申告期限の延長は、必ずしも必要ではありません。
では、本当に必要ではないのでしょうか?
法人税の申告期限の延長のメリット、デメリットを考えてみます。

2.法人税の申告期限の延長のメリットとは?

法人税の申告期限間際に、想定外の事態が発生したとき、余裕をもって対処できる

中小企業にとって、法人税の申告期限の延長しておくことは、
想定外の事態に備えるといった意味で有効です。

会計データが新種のウィルスに破壊されてしまった。
経理担当者が交通事故に遭い休職となってしまった。
社長が脳梗塞で倒れて入院してしまった。

大規模な震災では、国税当局が、被災した会社に
申告期限の延長を認めてくれるケースが多いです。
あくまでも個人的な事情では、延長は認めてもらえません。

仕事の期限が迫っている、そんな時に限って、
想定外の事態が起きたりするものです。
そんな状況でも、業務は待っていてくれません。

対策を考えるといった時間的にも、
心に余裕を持つといった精神的にも、
ほんの少しだけかもしれませんが、
助けになると思います。

決算の対策を考える意味でも、時間もかせぐことができます。
特に、赤字のケースでは、そもそも納税額はゼロです。
納税のことは考えずに、翌期を見据えて時間をかけた対策が可能です。

3.法人税の申告期限の延長のデメリットとは?

【1】決算数値の最終確定のタイミングが後ろにずれ込むことがある

金融機関などの債権者や、取引先に、
決算書を提出する必要があるケースです。

決算数値の最終確定のタイミングが後ろにずれて、
あまり良い印象は持たれません。

【2】経営者の気持ちがゆるんでしまうことがある

安易な気持ちで申告期限を延長すると、
「申告期限が1か月延びたから、のんびりいこう。」
といった気持ちが出てくることもあります。

こういった気持ちに心当たりのある方は、
申告期限を延長しない方が良いかもしれませんね。

4.法人税の納期限も延長できるの?

法人税納期限の延長はできない

法人税の納期限の延長はできません。
決算日から2か月以内に納税します。

申告書を決算日から3か月目に提出する場合、
通常、税額も3か月目に確定します。

3か月目まで納税をせず、税額の確定を待っていると、
思わぬ延滞税が課税されるケースもあり得ます。

2か月目に、いったん見積額で納税しておきます。
確定額より少なければ、3か月目に不足金額を納付します。
不足分だけ納税が遅れるので、延滞税がかかる場合もあります。

確定額より多い場合は、申告後に過大金額が還付されます。

5.消費税の申告期限の延長もできるの?

消費税の申告期限の延長はできない

消費税の申告期限は、延長できません。
決算日から2か月以内に消費税の申告書を提出することになります。
同日までに納税も必要です。

うっかりすると、思わぬ無申告加算税を課されるケースもあり得ます。
忘れないでくださいね。

6.法人税の申告期限の延長の申請は、いつまでにすればいいの?

申告期限の延長を受けようとする事業年度の終了の日まで

申告期限の延長を受けようとする事業年度の終了の日までに提出しないと、
その事業年度の申告期限は、決算日から2か月以内になってしまいます。
決算日までにとは言わず、いま、提出しておきましょう。

法人地方税も申告期限の延長が可能です。

7.まとめ

法人税の申告期限の延長は、しておいた方が良いでしょう。
申告期限間際に想定外の事態が発生したとき、
1か月の時間的余裕は大きいです。

申告期限を1か月間延長するのは、あくまでも、
不測の事態に備えることが目的と考えます。

法人税の申告期限の延長が税務当局から認められていても、
決算日から2か月以内に申告と納税をすませるスタンスは
崩さないようにしましょう。

会社を設立する際には、定款の株主総会の開催時期を
事業年度終了から3か月以内としておきます。

設立登記が終わったら、税務署へ設立届と一緒に、
申告期限の延長の申請書も提出しておくのがよいでしょう。

設立済みの会社であれば、定款の株主総会の開催時期を
事業年度終了から3か月以内に変更し、株主総会の特別決議を受けます。
その後、申告期限の延長の申請書を税務署へ提出します。