未払の費用を当期の経費に落とすこと、忘れていませんか?(その1)

【未払費用の計上 社会保険料】

決算日までに、まだ支払いをしていない費用があります。
物を受け取っていたり、サービスの提供を受けていれば、
そのタイミングで経費に落とすことができます。

お金の支払いが、決算日後の翌期であっても、
当期に経理処理で未払計上をしておきます。
当期の費用に落とすことができます。

では、決算日で未払いになる費用には、
どのようなものがあるのでしょうか?
社会保険料を中心に考えてみましょう。

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目次
1.健康保険、介護保険、厚生年金などの社会保険料
2.労災保険料、雇用保険料などの労働保険料
3.まとめ

1.健康保険、介護保険、厚生年金などの社会保険料

健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料は、
当月分を翌月末日までに納付する義務があります。
ということは、当月末に1か月分の未払金があるということになりますね。

3月決算法人が、社会保険料を口座振替で納付しています。
3月分の保険料が未払金として計上されますね。

3月31日が土曜日のときは、銀行は休業です。
2月分の社会保険料の引き落としは、3月31日ではなく、
翌銀行営業日である4月2日になります。

3月末の決算日の時点で、2月分と3月分の保険料、
2か月分が未払金として計上されます。

期中は現金主義で経理処理をしていて、
決算時に発生主義に切り替えているケースでは、
未払計上をうっかり忘れてしまうことがあります。

法人税の節税のためにも、
未払の費用をきちんと計上したか確認し、
忘れないようにしましょう。

2.労災保険料、雇用保険料などの労働保険料

労働保険料は、次の申告や納付をすることになっています。

まず、概算保険料です。
当年4月1日から翌年3月31日までの期間に見込まれる保険料を、
当年7月10日までに概算申告します。

1年経過後、確定保険料として、
同期間について最終的に確定した保険料を、
翌年7月10日までに確定申告します。

概算保険料が、確定保険料より少額であれば、
不足額を納付します。

逆に、概算保険料が、確定保険料よりも多額であれば、
超過額が還付されます。

前年度の会社負担分の労働保険料について、不足額が発生した場合には、
不足額を未払金として計上します。
法人税の節税になりますね。

労働保険料の申告期限は毎年7月10日です。
7月に入ってから保険料の計算を始める会社もあると思います。
保険料の計算自体は4月の時点でも可能です。
3月決算法人でも未払計上できますね。

もちろん、4月から6月までに決算を迎える法人も未払計上が可能です。
労働保険の申告計算のタイミングを前倒しするだけで可能になります。
ぜひ導入して頂きたい節税対策のひとつです。

前年度の会社負担分の労働保険料に、超過額が発生した場合には、
労働保険料の申告書を提出した日を含む年度の、収益に計上します。

3.まとめ

社会保険料は、原則として、
1か月又は2か月分が未払計上となります。
未払計上を忘れないようにしましょう。

労働保険料の概算確定の計算は、
労働保険の申告計算を早期化することで
4月の時点でも可能です。

未払計上により、節税が可能となります。
一度検討することをお勧めします。