決算賞与は決算日までに支給した方がいいの?

【従業員への決算賞与】

従業員(使用人)の賞与は、実際に支給した日の属する
事業年度の経費になります。

決算日までに従業員へ賞与を支給しなければ、
たとえ未払計上しても、
原則、当期の経費にできません。

では、従業員への決算賞与は、
決算日までに支給した方が良いのでしょうか。
未払計上して翌期の支給にした方が良いのでしょうか。考えてみましょう。

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目次
1.決算日までに従業員に決算賞与を支給すると、どうなるの?
2.決算日までに従業員に決算賞与を支給しないと、どうなるの?
3.従業員の決算賞与を未払計上して、当期の経費にするための4つの条件とは?
4.決算賞与のメリット、デメリットとは?
5.翌期の従業員の給与を、当期へ前倒しする考え方って、なに?
6.まとめ

1.決算日までに従業員に決算賞与を支給すると、どうなるの?

従業員の賞与は、実際に支給した日の属する事業年度の経費にできる。

従業員の賞与は、実際に支給した日の属する事業年度の経費にできます。
決算日までに従業員へ賞与を支給すれば、
支給した日を含む事業年度の経費にできます。

現金支出を伴い資金繰りに負担はかかりますが、
節税メリットを得られます。

2.決算日までに従業員に決算賞与を支給しないと、どうなるの?

従業員の賞与は、実際に支給しないと経費にできない。ただ、一定条件のもとで経費にできる。

決算日までに従業員に決算賞与を
支給しませんでした。
それでも、当期に決算賞与を未払計上しました。

このケースでは、残念ながら、
実際に翌期に支給したとしても、原則、
従業員の賞与を当期の経費にはできません。
翌期の経費となってしまいます。

条件を満たしたうえで、当期に未払計上します。
実際の支給が翌期でも、
当期の経費にできるケースがあります。

条件を満たしたケースの
節税効果を考えてみます。

利益5,000千円の3月決算の会社です。
3月末までに、従業員6人へ500千円ずつ、
合計3,000千円の決算賞与の支給を決定しました。
実効税率を30%とします。

【1】決算賞与の未払計上前の法人税等

5,000千円×30%
=1,500千円

【2】決算賞与の未払計上後の法人税等

(5,000千円-3,000千円)×30%
=600千円

【3】法人税等の節税額

1,500千円-600千円
=900千円

【4】実質的な現金支出

3,000千円-900千円
=2,100千円

900千円の法人税等の節税メリットがありますね。
当期の現金支出はありません。
翌期の4月末までには、賞与の現金支出が発生します。

この例は3月決算です。
翌期の5月末には、
法人税や消費税の納税が待っています。

さらに7月には、夏季賞与の支給も
あるのではないでしょうか。
資金繰りの悪化には、十分な注意をしておきましょう。

3.従業員の決算賞与を未払計上して、当期の経費にするための4つの条件とは?

【1】従業員ごとに支給金額を決定

決算賞与の未払計上は、従業員(使用人)のみが対象です。
役員は、対象になりません。
ご注意ください。

使用人兼務役員は、使用人の職務に対して、
他の使用人と同様の取り扱いにより支給されるケースでは、
対象になります。

【2】決算日までに、支給を受ける従業員全員に、各人ごとの支給金額を通知

「決算賞与の支給額の通知書」を2通、従業員に交付します。
従業員から住所の記入と署名押印をしてもらいます。
1通を会社控えとして保管します。

1通を交付し、住所の記入と署名押印してもらいます。
それをコピーして、コピーを
会社の控えにしても大丈夫です。

従業員へ通知したことを
確認できる書類の整備が必要です。
書類がないと、税務調査で不利益を被る可能性があります。

「決算賞与の支給額の通知書」と一緒に、
「賞与明細書」を渡しておくと、
より良いと思います。

通知書のサンプル

決算賞与の支給額の通知書

東京 一郎 殿

株式会社 埼玉
代表取締役 埼玉 一郎

貴殿に、決算賞与を支給することとしましたので、通知いたします。

賞与額 500,000円
控除額 150,000円
手取額 350,000円

平成29年3月31日

住 所 東京都東京区東京1-1-1
氏 名 東京 一郎 ㊞

【3】決算日の翌日から1か月以内に、通知した全従業員に、通知金額を支給

支給方法は、銀行振込がよいでしょう。
決算日の翌日から1か月以内に支給したことが明確になります。
要件を満たすことの証明になります。

もちろん、現金支給でも大丈夫です。
ただ、賞与の支給を受けた従業員全員から
領収証をもらっておきましょう。

領収証がないと、支給日の証明が困難になります。
税務調査で不利益になる可能性もあります。
ご注意ください。

なお、手形による支給は認められていません。

【4】決算日までに、経理上、未払計上する

決算の際に、
(借方)賞与 3,000千円/(貸方)未払金 3,000千円
といった経理処理が必要です。

4.決算賞与のメリット、デメリットとは?

税金も経費だと考えて納税することは、大事です。
従業員の業務を的確に評価し、
適切な金額を賞与として支給するのも大事ではないでしょうか。

税務署への納税よりも、
会社の利益を従業員へ還元する方が、
従業員のモチベーションアップにつながると考えます。

ただ、業績が下降局面にさしかかったとき、
決算賞与が途切れるようなことになると、
従業員のモチベーションがダウンすることにもなりかねません。

継続していた決算賞与を中止するケースでは、
十分な従業員への説明が必要になります。

決算賞与の支給の際、翌期の会社の業績次第では
中止の可能性もありえることを、業績が良いときであっても
説明しておくことが大切です。

賞与の支給は、当然に現金支出を伴います。
資金繰りにはマイナスに働きます。
キャッシュフローは、十分に考慮しておきましょう。

5.翌期の従業員給与を、当期へ前倒しする考え方って、なに?

翌期の利益が減少傾向にあるケースでは、
決算賞与の支給後、決算月の翌月以降の1年間に限定して、
従業員の月給を、決算賞与の12分の1だけ減額することも考えられます。

実行する際には、従業員ひとりひとりへの丁寧な説明が必要です。
もちろん同意も得ておくことが大切です。
安易に行うことのないようにしましょう。

6.まとめ

決算賞与は、決算日までに支給する方が良いでしょう。
現金支出が伴うものの、確実に節税メリットがあります。

ただ、決算日までに実際に支給ができなくても、
4つの条件を満たすようにすれば、未払計上であっても、
実際に支給する場合と同様の節税メリットがあります。

なんらかの理由で、決算日までに実際に支給できないときは、
未払計上でも大丈夫ですが、
確実に4つの条件を満たすようにしましょう。

賞与の支給は現金支出を伴います。
資金繰りには、くれぐれもご注意ください。