残業食事代は会社の経費に落とせるの?

【残業食事代は会社の経費に落とせるか】

会社で残業する従業員に、残業食事代を支給する会社は、
比較的多いのではないでしょうか。

では、残業食事代は、経費に落として良いのでしょうか?
経費に落としてはいけないのでしょうか?
考えてみましょう。

天むす

目次
1.残業食事代は経費に落としていいの?
2.残業食事代は経費に落とすための条件とは?
3.福利厚生規程の整備は必要なの?
4.まとめ

1.残業食事代は経費に落としていいの?

残業食事代は、原則、全額経費に落とすことができる

原則、残業食事代は、福利厚生費として
全額経費に落とすことができます。

ただ、無条件で全額経費に落とせるわけではありません。

2.残業食事代を経費に落とすための4つ条件とは?

次の4つの条件を満たさないと、残業食事代が、給与や交際費としての扱いを受け、
税務上のデメリットを受けるケースもあります。

【1】残業食事代の実費金額を会社が負担

会社に出前を取ったり、従業員が近くのお店で食事をとるかに関わらず、
会社が残業食事代の実費金額を負担する必要があります。

会社に出前を取るときは、直接支払いできると思います。
外食のときで、会社が直接支払いできないときは、
従業員より領収証の提出を受けて精算します。

実費精算せずに、従業員への渡切としてしまうと、
実質的な給与と認定され、源泉徴収の対象になります。
源泉税や不納付加算税の追加徴収をされることもあります。
ご注意ください。

【2】残業食事代が、社会通念上、常識的な金額の範囲内

残業食事代が全額経費になるからといって、
高級レストランや料亭で食事をした場合は、
残業食事代に該当せず、交際費や給与に認定される可能性が大です。

居酒屋で飲食するケースも、交際費や給与扱いされることになるでしょう。
交際費扱いされると、経費扱いすることに一定の制限がかかります。
ご注意ください。

残業終了後に食事をする場合、ビールや酎ハイを少し飲む程度であれば、
福利厚生費として残業食事代に該当すると考えてよいかもしれません。

【3】食事の提供が困難で現金支給するときは、1回300円以下

出前も困難で、近くに食事をするお店もない場合、
現金支給することになります。
1回300円以下にしないと、残業食事代を経費として落とせません。

【4】全従業員を対象

全従業員を対象としていないと、
残業食事代は、経費にすることができません。

特定の従業員のみを対象にしている場合、
交際費や給与としての扱いを受けることになります。
ご注意ください。

3.福利厚生規程の整備は必要なの?

福利厚生規程は、必ずないといけないものではありません。
ただ、税務調査などで不利益を受けないためにも、
福利厚生規程の中に、残業食事代の規定を設けます。
上記の4条件を盛り込んでおきましょう。

株主総会などの承認を受けておくことも大切です。
議事録にその規程が承認を受けている旨を記載しておきましょう。

4.まとめ

残業食事代は、経費に落とすことができます。
4つを守るようにしましょう。

①会社が残業食事代の実費を負担
②残業食事代は、常識的な金額の範囲内
③食事の提供が困難で、残業食事代を現金で支給するときは、1回300円以下
④全従業員を対象

福利厚生規程の中に、残業食事代の規定を設けて、
株主総会の承認を受け、議事録を作成しておきます。
そのうえで、現実に4つの条件を満たすようにすれば、
税務調査でも問題はないでしょう。

なお、社長が1人しかいない会社では、
残業食事代を経費として認めれないケースもあります。
念のため、役員報酬に上乗せしておくことの検討も必要でしょう。