社長が会社の融資保証人のとき、会社は社長に借入保証料を支払った方がいいの?

【会社が社長に支払う借入保証料】

中小企業が金融機関から借入をします。
社長が保証人になるケースが
ほとんどではないでしょうか。

会社が借入の際、信用保証協会の保証を利用します。
信用保証協会に対して、借入保証料を支払います。

では、社長が金融機関の借入金の保証人になる場合、
会社は社長に借入保証料を支払う方が良いのでしょうか?
支払わない方がよいのでしょうか?
考えてみましょう。

ブラケットにくるまる猫

目次
1.会社が社長に銀行借入金の借入保証料を支払うメリットとは?
2.会社が社長に銀行借入金の借入保証料を支払うデメリットとは?
3.まとめ

1.会社が社長に銀行借入金の借入保証料を支払うメリットとは?

借入保証料の金額を会社の経費にできる

会社が金融機関から借入をします。
社長が保証人になるケースがほとんどだと思います。
場合によっては、社長の親族が保証人になっているケースもあるでしょう。

信用保証協会の保証を利用するときは、借入保証料を支払います。
社長や社長の親族が銀行借入金の保証人になるときにも、
同じように、借入保証料を支払うことができます。

借入保証料の金額は、会社の経費にできます。
法人税の節税メリットを受けられますね。
借入保証料を経費にするためには、条件が2つあります。

①会社と社長、会社と社長の親族との間で、保証契約書を取り交わす

会社と保証人との間で、保証契約を結んでおきます。
客観的に証明できるようにしておくことが大切です。

②借入保証料が適正な金額である

信用保証協会が算出する保証料の計算基準を、
参考にして計算します。

借入金残高に対する年利1%程度までの金額が、
合理的な金額だと考えられます。

合理的な金額を超えて借入保証料を支払うこともできます。
ただ、超えた部分の金額は、役員の賞与として扱われ、
経費にできません。

会社には、源泉徴収の義務が発生します。
ご注意ください。

2.会社が社長に借入保証料を支払うデメリットとは?

社長や親族が受取る借入保証料は、雑所得として課税される

社長が会社から受け取る借入保証料は、
所得税の雑所得になります。
原則として、確定申告が必要になります。

給与を1か所のみから受取り、年末調整をしています。
他の所得は20万円以下です。
このケース、確定申告の必要はありません。

同族会社の役員や親族が、同族会社1か所からのみ
給与を受け取り、年末調整しています。
その役員や親族が、同族会社から

貸付金利子や地代家賃を受取っています。
その所得は20万円以下です。
こんどのケース、確定申告の義務があります。

同族会社の役員や親族は、原則として、
給与以外の所得の金額に関係なく
確定申告をする必要があります。

借入保証料の支払いをすると、会社の法人税の節税になります。
借入保証料を受取る社長や親族に適用される所得税の税率によっては、
会社と個人を合わせたトータルの税負担が増加するケースもあります。

そんなケースでは、毎月の役員給与の中に
借入保証料も含まれていると考えて、
借入保証料の支払いはしない方が良いでしょう。

3.まとめ

同族会社の社長や親族が、金融機関からの借入金の保証人になったときは、
会社から社長や親族に、借入保証料を支払う方が良いでしょう。
法人税の節税メリットが受けられます。

借入保証料を受取る社長や親族に適用される税率によっては、
会社と個人のトータルの税負担が増えてしまうケースもあります。
安易に支払いをすれば良いわけではありません。ご注意ください。

社長が会社の借入金の保証人になりました。
個人所有の不動産などの資産を
担保として提供しませんでした。

年間の借入保証料の受取り金額が20万円以下で、
同族会社から給与と借入保証料以外の支払いを受けていないケースです。
このケースは、確定申告は必要ないと考えて良いのではないでしょうか。

所得税法施行令 第262条の2は、
同族会社の社長や親族が確定申告をしなければならないケースを、
「当該法人の事業に係る貸付金の利子又は不動産、動産、営業権その他の資産を当該事業の用に供することによる対価の支払を受ける場合とする。」としています。

資産を担保として提供せずに保証人となり「借入保証料を受取る場合」は、
「資産を当該事業の用に供することによる対価の支払を受ける場合」には
該当しないと、文理解釈して良いのではないかと考えます。